『猿の惑星/キングダム』のテーマ
『猿の惑星』シリーズには、人種問題や、知性・文化とは? というテーマが内包されてきた。猿という存在はメタファーで、時代によって様々な意味が重ねられているのだ。
ただ、こちらもポリコレ慣れしてきたというか、様々な意識を強制アップデートされてきたせいか、そもそも猿を差別的な目線で見ていいのか、という戸惑いが生まれている自分に気づく。「下等な猿が人類を支配する」という逆転現象がショックの源泉だったはずだが、その前提がグラついてしまうため、物語に没入できないのだ。これがずーっと漂っていた違和感の正体かもしれない。
大猿と怪獣のタッグマッチで荒唐無稽に振り切った『ゴジラxコング 新たなる帝国』に比べ、多少なりとも考えさせられるテーマを含んだリアル・メタファー路線の『猿の惑星/キングダム』。どちらが正しい猿バトル映画なのかというのは、人によって意見が分かれるだろう。
映画館で見比べられるのは今しかないので、ぜひ連続鑑賞して猿に対する意識を再確認してみてはいかがだろうか。
(文・灸怜太)
【作品概要】
◇タイトル:『猿の惑星/キングダム』
◇監督:ウェス・ボール
◇出演:オーウェン・ティーグ、フレイヤ・アーラン
◇配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
5月10日(金)全国ロードショー
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