滑稽さと哀愁が同居したジム・キャリーの表情〜配役の魅力
本作の配役の注目ポイントは、なんといっても主演のジム・キャリーに尽きるだろう。
自分の一挙手一投足が世界中の人から監視され続けている男ー。この設定は、ともすれば、どんなホラー映画よりも恐ろしいシリアスな設定だ。
しかし、本作では、キャリーが、『マスク』でも披露した得意の顔芸を取り入れつつ監視され続ける男を喜劇的かつ軽快に演じており、家族で楽しめるコメディ映画として成立している。
とはいえ、戯画的な人物を単に面白おかしく演じているわけでは決してない。滑稽さの中にも人間の哀愁をしっかりとにじませ、「喜劇王」の名に相応しい名演を披露している。
とりわけラスト、「世界の果て」に辿り着いたトゥルーマンが全世界の視聴者に見せる哀愁たっぷりの表情は、観客の涙を誘う。
「トゥルーマンショー」の企画発案者であるクリストフ役のエド・ハリスの演技も見事。
番組制作者としての妥協を許さない側面と、トゥルーマンにあたたかく接する本音を巧みに演じ分け、複雑な人物像を表現している。