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「まがいもの」でできた現実〜映像の魅力

映画『トゥルーマン・ショー』の1シーン。トゥルーマンの生活で街中のスクリーンで放映されているシーン
映画トゥルーマンショーの1シーントゥルーマンの生活で街中のスクリーンで放映されているシーンGetty Images

先にも触れた通り、トゥルーマンが暮らすシーヘブンの風景は、全て人為的に作られた「ハリボテ」だ。しかし、メタフィクションである本作の映像表現は、一般的な映画に比べてかなりねじれている。

例えば、トゥルーマンが暮らす街の街並みは、どこかミニチュアのようで、不自然さが否めない。また、作中に何度も登場する月(外部からコントロールが可能)も、時代劇の書き割りさながらに誇張されている。

これらは、虚構であることを意図して作られた「まがいもの」であり、あえてチープに作られているのだ。つまり、トゥルーマンがあくまで「虚構の存在」であることを際立たせるために。

ちなみに、シーヘブンのセットは、フロリダの実景がモデルとなっており、セットに直に地平線や運河が描かれているという。また、建物は、セット内にビジネス地区を再現されており、建物は全て1階の平屋部分のみが建造され、2階から上はCGで再現されたという。

とはいえ、本作に映るものが全て「茶番」なわけではない。とりわけ後半、トゥルーマンが嵐の大海原に漕ぎ出すシーンでは、現実の嵐さながらの迫力あるシーンに仕上がっており、「トゥルーマンショー」を見る劇中の視聴者のみならず、本作を見る私たち観客の目も楽しませてくれる。

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