『ベニスに死す』【ネタバレあり】あらすじ
このままでは自分がおかしくなってしまうと思ったアッシェンバッハは、静養をやめてミュンヘンに帰ることを決意する。
ベニスの駅に向かったアッシェンバッハ。しかし、係員から手違いで荷物が間違えて別の場所に送られてしまったことを聞かされる。仕方なくホテルに戻ったが、密かにタジオとの再会を喜んだ。
ある日、アッシェンバッハが新聞を読んでいるとベニスで感染症が流行していることを知る。
町中に撒かれた消毒剤が悪臭を放っていたが、ベニスは観光で成り立っていることから、ホテルの支配人や町の人までがこの事実を隠蔽しようとしていた。
不安になったアッシェンバッハが銀行の男性職員を問い詰めると、すでにコレラが流行しており、さらに死者も出ていると教えてくれた。病院のベッドにも空きがなく、数日で交通が閉ざされる可能性があるため、早くベニスから出るように忠告される。
だが、それを聞いて何よりもタジオの安否を心配したアシェンバッハは、タジオの母親(シルヴァーナ・マンガーノ)に、ベニスから離れるよう警告する。
しかし、アシェンバッハはもともと病弱だったこともあり、コレラに感染してしまう。
アシェンバッハはタジオに思いを伝えようと、美容院で白髪を染め、化粧をしてもらった。
若返ったような気持ちでタジオを追いかけるアシェンバッハだったが、激しい動悸と噴き出てくる汗によって、せっかく整えた身だしなみと化粧が流れ落ちてしまった自分を見て、ひどく滑稽で惨めな気持ちになる。
ホテルからはだんだんと宿泊客が去り、タジオもホテルを去る日がやってきた。
最後にタジオを目に焼き付けようとビーチに向かったアッシェンバッハは、最後に今までに感じたことのない衝撃を受ける。
太陽の光で輝く海に入るタジオの、あまりの美しさに神々しさまで感じ、思わず彼の元へ行こうと手を伸ばした。
しかし病気のために椅子から立ち上がることさえできず、アシェンバッハはついに力つきるのであった。