意外な展開に引き込まれる…オーメンシリーズは何が特別なのか? 映画『オーメン・ザ・ファースト』徹底考察&評価レビュー
全世界を恐怖に包み込んだレジェンド・オブ・ホラー「オーメン」、その“はじまり”の物語。映画『オーメン・ザ・ファースト』が公開中だ。1976年に公開された名作ホラーの正当な続編にして前日譚。悪魔の子・ダミアン誕生にまつわる秘密を描いた本作のレビューをお届けする。(文・村松健太郎)【あらすじ キャスト 考察 解説 評価】
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【著者プロフィール:村松健太郎】
脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。
シリーズ化するホラー映画の系譜
ホラー映画というジャンルは他のジャンルと比べてもキャラクターや映画全体のコンセプトを引き継ぎやすくシリーズ化しやすいと言える。
古くは“吸血鬼ドラキュラ”(『魔人ドラキュラ』(1931))、“フランケンシュタインの怪物“、”ミイラ男“や”狼男“などの映画黎明期のいわゆる”ユニーバーサルモンスターズ“。時代を下っても『悪魔のいけにえ』(1974)シリーズのレザーフェイス、『ハロウィン』(1978)シリーズのブギーマン、『13日の金曜日』(1980)のジェイソン、『エルム街の悪夢』(1986)のフレディ・クルーガーなど、それぞれ少しずつ形を変えながらスクリーンを賑わせ続けている。
近年でもゴーストフェイスが登場するミステリー要素を強めた『スクリーム』(1997)シリーズや、“ジグソウ”が殺人ピタゴラスイッチを構築する『ソウ』(2004)シリーズなどがある。逆にそのコンセプトを控えめにしてユニバース化した“『死霊館』(2013)シリーズ”が目下展開中でもある。
これらのシリーズ化されホラー映画は多くはメインキャラクターの続投はない。と言うのも、たいていの場合、その時々のメインキャラクターは映画内で殺人鬼に殺されて退場してしまう場合が多いからだ。
そんな半ば“メタ的”な事情もあって、ホラー映画がシリーズ化された場合、殺人鬼のキャラクターなど一部のコンセプトを引き継ぐ形で展開されることが多い。