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映画史上の傑作になった奇跡のB級映画ー演出の魅力

監督のトビー・フーパー【Getty Images】
監督のトビーフーパーGetty Images

1974年10月1日、米テキサス州の映画館で、とある映画が封切られた。その名も、“TEXAS CHAINSAW MASSACRE(テキサス・チェーンソー大虐殺)」。いかにも低予算B級映画然としたタイトルだが、後に本作がホラー映画史に残る大傑作になることなど、まだ誰も知る由もなかったー。

本作は、テキサス州に帰郷した若者5人が、人の皮を被った殺人鬼「レザーフェイス」に殺害されていく様子を描いたホラー映画。監督は、『Eggshells』(1969)でデビューしたトビー・フーパー。キャストには、マリリン・バーンズらが名を連ねている。

本作ほど「ケガの功名」という言葉がふさわしい映画もそうそうないだろう。制作費14万ドル(約4000万円)、製作日数7日という超低コストで製作された本作は、現場での演出の工夫や「実話の映画化」という誇大広告が功を奏し、興行収入3,000万ドル(約27億5000万円)の大ヒットを記録。その後、芸術性の高さが評価され、ホラー作品としては唯一ニューヨーク近代美術館(MOMA)にマスターフィルムが永久保存されている。

また、本作に登場する「レザーフェイス」も、『13日の金曜日』(1980)のジェイソンや『エルム街の悪夢』(1984)のフレディ・クルーガーと並ぶシリアルキラーとして映画史にその名を刻んでおり、2000年代に入ってからも『レザーフェイスー悪魔のいけにえ』(2018)やNeflix映画『悪魔のいけにえ-レザーフェイス・リターンズ』(2022)など、数々の作品が作られている。

なお、本作の思わぬ成功により、キャストやスタッフの人生は一変。特に監督のトビー・フーパーは、『悪魔のいけにえ2』(1986)や『ポルターガイスト』(1982)など、数々の作品を手がけ、2017年に人生の幕を閉じている。

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