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「失望した…」なぜアカデミー賞で冷遇? ケン役のライアン・ゴズリングが『バービー』のノミネート結果に怒りをあらわに

全世界興行収入が1億ドルを突破し、各国でヒットを飛ばしている映画『バービー』だが、批評家筋からの受けはあまり芳しくないようだ。その証拠に、アカデミー賞では監督賞と主演女優賞のノミネートに落選。この結果に、ケン役のライアン・ゴズリングは「失望した」と表明している。今回は、英メディアを参考に、ゴズリングの発言を紹介する。

「偉大なクリエイターを無視している」
ライアン・ゴズリングが怒りをあらわに

ケン役のライアンゴズリングGetty Images

第96回アカデミー賞のノミネート作品が発表された。しかし、そこには、『バービー』の監督のグレタ・ガーウィグと主演のマーゴット・ロビーの名前は記されていなかった。本作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた俳優ライアン・ゴズリングは、この件について、大ヒット映画を支えた2大クリエイターが黙殺されたと批判している。アカデミー賞の落選が恒例行事であることを考えると、ゴズリングのこの発言は異例中の異例だ。

「控えめに言って、ガーウィグとロビーがノミネートされなかったことに失望しています。『バービー』なくしてケンはないし、ガーウィグとロビーなくして『バービー』はない。2人の才能と気概、そして類稀な能力があってこそ、関係者を称えることができるのです」

「下着も身に着けておらず、魂も宿っていない生身のバービー人形。そこから2人は、さまざまな困難を乗り越えて、私たちの心を動かすような作品を作った。2人は、文化を創造し、新たな歴史の1ページを開いたのです。彼女たちの仕事は、他の受賞候補者と同様に評価されるべきです」

ファンの中には、本作が作品賞にノミネートされたのに、ガーウィグが監督賞にノミネートされないのはおかしいという人もいる。ただ、アカデミー賞では例年、監督賞に5名、作品賞に10作品がノミネートされ、監督賞の受賞候補者の方が少ないことを考えると、こういったことは十分起こりうることだ。

ただ、ここで考慮すべきは、男性俳優であるゴズリングがノミネートされ、ガーウィグとロビーが落選したという事実だ。この事実は、重役が男性で占められたマテル社や、ケンが現実社会で学んだ力強い男性への憧れといった、男性優位社会が抱える問題をそのまま象徴しているように思える。

バービーランドを男性優位社会に変えたことから批判を買っていたケン。しかし、演者のゴズリングがガーウィグとロビーを擁護し、ファンの不満を代弁したことで、ゴズリングが矢面に立つことはなくなったようだ。

ただ、『バービー』は決して落選したわけではない。作品賞にノミネートされているほか、アメリカ・フェレーラが本作で助演女優賞にノミネートしている。また、マーク・ロンソンとアンドリュー・ワイアットが『I’m Just Ken』て、ビリー・アイリッシュが『What Was I Made For?』で歌曲賞にノミネートされているほか、美術賞、衣装デザイン賞でも候補に上がっており、合計8ノミネートを果たしている。

ゴズリングは、本作の公開以来、単独で資金を提供しているのではないかと周囲を思わせるほど全面的に宣伝を行っており、『プラトーン』で知られるオリヴァー・ストーンからは、本作に出演することで「時間を無駄にしている」とすら言われている。本作の可能性を信じ、熱心に取り組んだ作品であったからこそ、批判の声を挙げたのは確かなことだろう。

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