シリーズ史上、最もバイオレンスに研ぎ澄まされたアクション
ロバート・マッコールは、シチリアで“仕事”をしている時にダメージを負い、アルトモンテという片田舎の街に流れ着く。心と体を療養しながら、ここで静かに暮らそうかと考えはじめてたマッコールだが、地回りのマフィアが街の人々に横暴を働いていること気づき、怒りのイコライズをキメる…という流れだ。
血まみれで行き倒れていた、誰がどうみてもヤバい奴でしかないマッコールを助け、何も聞かずに手厚くもてなすアルトモンテの人々。その温かさに、少しずつ心を落ち着かせていくマッコールの様子が丹念に描かれていく。
それと同時に、粗暴なマフィアたちが住民をコッテリといたぶる様子も執拗に描写。観客としては、早くマッコールにブチのめしてほしいのだが、今作は展開がゆっくりめなので、このやりたい放題マフィアのターンがしばらく続く。
しかし、その溜め効果は抜群で、ついに行動を開始したマッコールの怒りと暴力が炸裂するシーンのカタルシスは最上級。一瞬で人体破壊して、あっと言う間に死屍累々となる。
歴史ある建物が並ぶ、美しい街並みのアルトモンテは、マッコールが仕事を始めると、陰影の濃い、冷たい石のような印象に映る。このリアル&ダークなルックは、今作からシリーズに参戦した撮影監督ロバート・リチャードソン(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のカメラを担当)のテイストが色濃いのかもしれない。