ホーム » 投稿 » 海外映画 » レビュー » 実話と全然違う…結末のセリフに込められた意味とは? 映画『タイタニック』徹底考察&感想。制作費&珠玉の主題歌も解説 » Page 6

映画史上空前の巨大セットー映像の魅力

ジェームズ・キャメロン監督
ジェームズキャメロン監督Getty Images

本作が制作された1997年は、ちょうどCG映像の黎明期にあたる。しかし、当時はまだ技術が未発達だったこともあり、フルCGは不可能だった。

キャメロン自身、当初は船体の一部だけをセットで作って役者を配置し、群衆や背景にのみCGを使うというオーソドックスな方法を考えていたという。しかし、この手法ではディテールまで描こうとした時に限界があるのに加え、何よりラストの沈没のシーンは描けない。

そこでキャメロンは考えた。
「いっそのこと、タイタニック号を丸ごと作ってしまってはどうか?」

かくして、「タイタニック号のレプリカを作る」という映画史上空前絶後の大プロジェクトが幕を開けた。しかも、タイタニック号をまるごと収容できる大きさのスタジオは当時世界になかったため、なんとキャメロンはスタジオの建築も提案。スケジュールの都合上、撮影と同時進行で100日間という突貫工事で建造されたため、「100日スタジオ」と呼ばれた。

制作されたレプリカは、実際のタイタニック号よりやや小さいもので、実際に再現されたのは船の右舷のみ。ただ、設計は実際の設計図をもとに制作されており、甲板までの高さやドア、舷窓のみならず、内部の装飾品や家具、救命ボート、そして食器や備え付けの文房具に至るまで、あらゆるディテールが忠実に再現されたとのこと。

なお、劇中でもひときわ目を惹くタイタニック号の出港シーンでは、史実通り左舷側をドックにつけるため、建物や衣装、文字、そして俳優の紙の分け目に至るまで全てを左右反転して撮影し、編集で反転させたという。こういった撮影にも、完璧主義者のキャメロンの異常なまでのこだわりが垣間見える。

また、キャメロンは、ラストシーンのタイタニック号の沈没の撮影のために、レプリカのタイタニック号とは別に実物大の船尾のセットを制作。本セットは沈没に合わせて角度を90度まで段階的に変えることが可能で、最終的には直立状態の船尾から乗客役のスタントマンが落下するシーンが撮影されている(ケガが続発したため、最終的にCGのスタントマンを使用)。

そして本作の映像といえば、やはり船首でジャックとローズがキスを交わすシーンをあげなければならない。このシーンは、実際の夕日をバックに撮影され、撮影のために8日間スケジュールが確保されたが、7日目まではチャンスに恵まれず、そのまま最終日を迎えてしまう。しかし、最終日も曇天で暗雲が立ち込めていたが、日暮れの1時間前に晴れ間がのぞき撮影できたという。

なお、映画史上最高額の制作費がかかっている本作だけに、撮影のスケールもけた違いで、タイタニック号の出港シーンや船が沈没するシーンでは、2,000人近いエキストラが参加している。また、入水しようとするローズを救ったジャックがディナーに参加するシーンでは、150人近いエキストラが参加しており、撮影前に食事のマナーや笑い方などのエドワード朝様式の礼儀作法が叩きこまれたという。

1 2 3 4 5 6 7
error: Content is protected !!