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歌姫セリーヌ・ディオンの絶唱―音楽の魅力

歌手のセリーヌ・ディオン【Getty Images】
歌手のセリーヌディオンGetty Images

本作といえば、やはりセリーヌ・ディオンが歌う「My Heart Will Go On」は外せないだろう。

本曲は、もともと本作の音楽を担当したジェームズ・ホーナーが「ローズのテーマ」として制作したもので、映画のドラマチックな場面に見合うのは独唱しかないというジェームズの強い意思から、メインテーマの制作に反対していたキャメロンには伝えられずに秘密裡で制作されていた。また、セリーヌ自身も当初キーが高かったことからオファーには乗り気ではなかったが、マネージャー兼夫であるレネ・アンジェリルの説得でレコーディングに応じたという。

キャメロンは本曲の制作に難色を示したが、デモテープを聞いて1発で気に入り、エンディングテーマへの採用を決めたという。なお、本曲は、1997年のアカデミー賞で歌曲賞を受賞したほか、グラミー賞で最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀女性ポップ歌手、Best Song Written Specifically for a Motion Picture or Televisionを総なめにし、1998年にはゴールデングローブ賞も受賞。記憶にも記録にも残る楽曲となったことは周知の通りだ。

また、本作の音楽といえば、三等客室でジャックとローズが踊るアイリッシュ音楽も印象的だ。ケルト風の軽快なメロディが印象的なこの音楽は、「John Ryan’s Polka」と呼ばれる楽曲で、セッションの定番の音楽のひとつになっている。なお、作中で本曲を演奏した伝統音楽バンド、ゲーリック・ストームは、本作をきっかけに注目されるようになり、東芝EMIからオリジナルアルバムが発売されている。

ちなみに、アイルランドでは、1840年代に主食のジャガイモが疫病により枯死し、100万人単位の餓死者が発生しており(ジャガイモ飢饉)、実際のタイタニック号にもアメリカへの脱出を図るアイルランド人が100人ほど乗船していたという。作中のBGMにも、キャメロンの歴史考証の結果が表れているのだ。

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