文句なしに面白い…史上最高のラブコメ日本映画は?(4)5人の男と同時に交際…共感を呼ぶ名女優の代表作は?

text by 小室新一

恋愛とは一筋縄ではいかないため、様々な物語がある。そして、本人が必死になればなるほど、その姿は側から見れば滑稽だったりもする。それでも人を愛することが辞められない…。今回は、そんな恋愛する人の可笑しみを描いたラブコメ日本映画を5本セレクト。作品の内容と共に、見どころを紹介する。第4回。(文・小室新一)

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恋愛における男女間のリアルなやり取りに共感

『婚前特急』(2011)

吉高由里子
吉高由里子【Getty Images】

監督:前田弘二
キャスト:吉高由里子、加瀬亮、浜野謙太、杏、石橋杏奈

【作品内容】

 池下チエ(吉高由里子)は、人生の限られた時間を有効に活用したいと考えて、5人の男性と同時に付き合っていた。しかし、親友が結婚することをきっかけに5人との向き合い方を見つめなおすことにしたのだが…。

【注目ポイント】

 本作の監督は、『まともじゃないのは君も一緒』(2021)、『こいびとのみつけかた』(2023)の前田弘二。主演を吉高由里子、チエの親友を杏が演じた。また、チエと交際する5人の彼を、浜野謙太、加瀬亮、青木崇高、榎木孝明、吉村卓也の実力派俳優陣が務めた。

 本作は前田弘二監督の長編デビュー作であり、彼の得意とする個性的な男女の会話劇が特徴だ。特に、男女が子供のように罵り合うシーンは印象的で、“けんかするほど仲がいい”を絵にかいたような情景である。恋愛における男女のやり取りや駆け引きがリアルに描かれており、共感を呼ぶ作りになっている。

 また、日本でスクリューボールコメディを作るという監督の野心に応えた吉高由里子の演技を評価する声も多い。この映画をきっかけに彼女の情熱的でコミカルな演技が開花し、その後の映画・ドラマでの活躍に確実に影響しているように思う。彼女の代表作として本作をあげるファンも多い。

 この作品は結婚観をテーマにしており、理想よりも等身大の自分を大切にすることの重要性について考えさせられる。人生を共にするパートナーを探す上で、自分がいかに自然でいられるかを考えるのは大事だろう。そうした当たり前だが忘れがちなことを教えてくれる作品だ。
 
(文・小室新一)

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【了】

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