ジブリ史上最も衝撃的な裏設定は? 宮崎駿作品の都市伝説(1)ナウシカ続編の噂も…知られざる傑作短編は?

text by 阿部早苗

スタジオジブリの作品には、公式では語られない「噂」や「仕掛け」が満載。短編アニメの裏設定から複数作品にまたがる“隠しキャラ”まで、ファンの想像をかき立ててやまない小ネタの宝庫だ。今回は、そんなジブリの知られざる魅力に迫るトリビアを5つ厳選してご紹介する。第1回。(文・阿部早苗)

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翼の少女がつなぐ世界

CHAGE&ASKAのPVが『風の谷のナウシカ』の前日譚?

© 1984 Studio Ghibli・H
© 1984 Studio Ghibli・H

【注目ポイント】

 CHAGE&ASKAの楽曲『On Your Mark』(1995)のPVは、宮崎駿監督によるスタジオジブリ制作のアニメーション。セリフが一切ないにもかかわらず、その緻密な世界観とエモーショナルな物語が実は『風の谷のナウシカ』の前日譚ではないかと囁かれている。

 汚染された地上と地下都市、謎の宗教団体、翼を持つ少女など終末的な雰囲気が漂っている。そんな中、武装警官のふたりが、ある宗教施設への突入作戦で“翼を持った少女”を保護する。しかし彼女は研究施設へと引き渡され、再び閉じ込められてしまう。

 この少女、完全な防護なしに汚染された地上を歩くことができる。まさに『風の谷のナウシカ』の漫画版に登場する対毒性を持つ新人類そのもの。さらに映画版のタペストリーに描かれている“翼を持つ女性”がPVの少女のようにも見えるのだ。

 PVは、少女を救おうと再び立ち上がるも失敗し、再び挑戦して成功する。この救出劇は一度失敗に終わり、まるで時を巻き戻すかのように、再びやり直しが始まる。ここに見えるのは「永劫回帰」の哲学。これは漫画版にも同様の思想が描かれている。

 そして『ナウシカ』の舞台は「火の七日間」と呼ばれる大戦争後、瘴気に満ちた腐海が広がる世界で、ナウシカは対毒性を持つ人工人間。これには羽を持つ少女との繋がりを想起させる。

 公式には明言されていないものの、『On Your Mark』は、ナウシカが生きた時代よりも遥か昔。世界が汚染され始めた頃の物語であるように思えてならない。まるで、腐海が誕生する“前夜”を描いた前日譚のように感じられるのだ。

【著者プロフィール:阿部早苗】

仙台在住のライター。2020年にライターデビュー。これまで東日本大震災での企業活動をまとめた冊子「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパーを執筆した他、エンタメニュース、福祉関連記事、GYAOトレンドニュース、地元グルメライターなどWEB媒体を中心に執筆。映画なしでは生きられないほど映画をこよなく愛する。

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