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「実在する日本の大事件…」最強の天才詐欺師が集結する映画(3)。衝撃の被害額…犯人は今も出没する!?

text by 編集部
クヒオ大佐を演じた堺雅人Getty Images

詐欺は日常に潜んでいる。手を替え品を替え心の隙間に入り込もうとしてくるので、油断は禁物だ。しかし映画の中で起こることは全てフィクションなので、脚本に騙され、役者の芝居に裏切られることを楽しんでほしい。「自分は騙されない」と高をくくっていると、足をすくわれてしまう傑作詐欺映画を5本紹介する。今回は第3回。

●堺雅人が実在する詐欺師を怪演。モデルとなった詐欺師は都内に出没!?

『クヒオ大佐』(2009)


出展:Amazon

製作国:日本
監督:吉田大八
脚本:香川まさひと、吉田大八
原作:吉田和正
キャスト:堺雅人、松雪泰子、満島ひかり、安藤サクラ、内野聖陽

【作品内容】

自らを「ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐」と名乗り、国際ロマンス詐欺を働いた、実在する日本人を描いた物語。次々と女性を騙していくが、とある事件をきっかけに詐欺師であることがバレて、騙された女性側から復讐されるのだが…。

【注目ポイント】

「国際ロマンス詐欺」なる種類の詐欺が存在する。外国人や外国人を装った人物が、SNSを通じて恋愛感情を抱かせお金を騙し取るもので、新型コロナの感染が広がった約3年前から被害が激増しているのだ。

詐欺師はマッチングアプリやインスタグラム、ツイッターなどのSNSで接触してきた後、LINEに誘導。いきなり投資の話が切り出されるわけではなく、毎日のようにLINEをやりとりして、恋人同士のように交流を深める。直接的な愛の言葉も繰り出され、次第に被害者には恋愛感情が芽生えていく。

時には数か月もかけて信頼関係を築いた後、偽の投資サイトに誘導をし、銀行口座に送金させたり暗号資産に投資をさせたりする。最初は儲かった10万円ほどが引き出せることもあるといい、信じ込んだ被害者はどんどんお金をつぎ込んでしまう。

本作は、1970年代から1990年代にかけ「アメリカ空軍パイロットでカメハメハ大王やエリザベス女王の親類」と名乗り、結婚話を女性に持ちかけ、約1億円を騙し取った実在の結婚詐欺師で自称「ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐」と名乗った日本人の実話に基づいている。

主人公のモデルとなった「クヒオ大佐」は、第二次大戦中に北海道網走市に生まれ、中学校卒業後に職業訓練学校へ入学、卒業後上京した元自衛官であり、1970年代から20年以上に渡って詐欺行為を重ねた。整形手術により鼻を高くし、髪を金髪に染めて軍服のレプリカを身にまとい、片言の日本語を使って外国人を装うようになった。最後に逮捕されたのは1999年だ。

彼の悪行はワイドショーなどで報じられたが、刑期を終え出所した後も、同様の手口で女性から結婚費用を騙し取るなど、その被害総額は1億円を下らないと言われている。また、本人と思われる男性が現在でも都内に出没しているという噂も絶えない。

同作の主人公・クヒオ大佐を、堺雅人が“怪演”しており、弁当屋社長・永野しのぶ(松雪泰子)を毒牙にかける。次なるターゲットとして博物館学芸員・浅岡春(満島ひかり)に目をつけ、男女の関係になるが、ひょんなことから彼女は、クヒオが詐欺師であることに気付く。中盤以降は、詐欺がバレたクヒオ大佐に、騙されていた女性側が家族ぐるみで反撃する様がコミカルに描かれている。

公開から10年以上の時が過ぎている作品だが、国際ロマンス詐欺の被害が再び増えつつある現在、チェックしておきたい一作だ。

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