「歴史に残る超名作」最強の天才詐欺師が集結する映画(4)。時代を超えて面白い! 詐欺映画の金字塔
詐欺は日常に潜んでいる。手を替え品を替え心の隙間に入り込もうとしてくるので、油断は禁物だ。しかし映画の中で起こることは全てフィクションなので、脚本に騙され、役者の芝居に裏切られることを楽しんでほしい。「自分は騙されない」と高をくくっていると、足をすくわれてしまう傑作詐欺映画を5本紹介する。今回は第4回。
●観客をも欺く華麗な脚本…。詐欺師映画の最高峰
『スティング』(1973)
原題:The Sting
製作国:アメリカ
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
脚本:デビッド・S・ウォード
キャスト:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、ロバート・ショウ、チャールズ・ダーニング
【作品内容】
1936年のシカゴで、詐欺を生業とするジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード)が、親同然の師匠を殺害したドイル・ロネガン(ロバート・ショウ)率いるギャングに復讐するために、伝説的な賭博師であるヘンリー・ゴンドーフ(ポール・ニューマン)と協力し、得意とするイカサマでギャング組織を徐々に追い詰めていく
【注目ポイント】
アメリカンニューシネマの西部劇映画の代表的作品『明日に向って撃て!』(1969)以来の共演を果たしたポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードのダブル主演による、詐欺師をコメディタッチに描いた作品。信用詐欺(信用を得た上で詐欺をする手口)を扱った代表的な映画だ。
大物詐欺師であるはずだったゴンドーフは、フッカーが考えていた姿とは程遠く、回転木馬の整備をしながら、売春宿で寝泊まりする無様な生活ぶりだった。やる気のなかったゴンドーフは、旧友を殺された怒りと、フッカーが抱いている熱い復讐心にシンパシーを抱き、再び詐欺師として動き出す。
物語が展開していく中で、あらゆる伏線が張り巡られ、賭博場でのイカサマや裏切りが横行し、敵味方も分からなくなるような手の込んだ脚本だ。
何かと賄賂を要求する悪徳警官、銀行員という表の顔を持つ男、ゴンドーフに住まいを提供している売春宿の主にして、詐欺師としての顔も持つ男…など、ひと癖もふた癖もあるキャラクターが登場。さらにフッカーの逃亡に協力していると見せかけながらも、実はフッカーの命を狙う殺し屋・ロレッタ(ディミトラ・アーリス)も登場し、ストーリーは混迷を極める。
タイトルである「スティング」は、虫が刺す、ヒリヒリする、心を痛めるなどとの意味の他に、スラングでは「騙す」「ぼったくる」という意味もある。
一つの詐欺が次なる詐欺の伏線となっているなど、細密画のようなトリックが施されている作品であり、脚本の緻密さも相まって、詐欺師を描いた映画の金字塔ともいえる作品だ。
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