「狂気の愛がやばい…」実在する悪女の人生を描いた日本映画(1)。恐怖の殺人事件…”局部”を切った理由は?
text by 編集部
サロメに楊貴妃、そしてクレオパトラ—。洋の東西を問わず、“悪女”はその美貌で男性を魅了し、男たちをその手の内で転がしてきた。しかし、よくよく調べてみると、“悪”の一言では片づけられない彼女たちなりの大義があったりする。本記事では、実在する“悪女“たちをテーマにした邦画5本を選定。彼女たちの悪の魅力を存分にご紹介しよう。今回は第1回。
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名匠・大林宣彦が手がけた阿部定事件の決定版
『SADA 戯作・阿部定の生涯』(1998)
製作国:日本
監督:大林宣彦
脚本・原作:西澤裕子
キャスト:黒木瞳、片岡鶴太郎、椎名桔平
【作品内容】
神田の畳屋の娘・定は、14歳の時に強姦さながらの行為で処女を奪われる。そんな彼女を慰めたのは医学生の岡田征だった。岡田に恋心を抱いた定だったが、実は彼はハンセン病に侵されており、その事実を隠したままメスを残して姿を消す。
投げやりになり、芸者から娼婦へと身を落として全国を渡り歩く定。やがて。パトロンの立花の勧めで料亭「きく本」で働きだすが、定は次第に主人の龍蔵と深い仲になり…。
【注目ポイント】
日本の「悪女」といえば、まずは阿部定を挙げなければならないだろう。セックスの最中に愛人の男性を絞殺し、局部を斬り落としたこのセンセーショナルな事件は、模倣犯が起きるほど国民の好奇心を刺激した。
『明治大正昭和 猟奇女犯罪史』(1969年)や、『愛のコリーダ』(1976年)など、さまざまな作品で映画化されているこの事件。『時をかける少女』(1983年)で知られる名匠・大林宣彦が手がけた本作は、黒木瞳の名演技も相まって、ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞するなど海外でも高く評価されている。
なお、阿部定は逮捕時、「いつも彼と一緒にいるために、局部を持っていきたかった」と供述している。女の情愛の果ての狂気を、ぜひこの目に焼き付けたい。
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