最も偉大な日本のアニメ映画は? 世界絶賛の傑作アニメ(5)史上屈指の名作! 世界に影響を与えた衝撃のSF
これまで多くのアニメ作品が、国内独自の風土で育まれてきた日本。日本の貴重な文化の一部であり、お家芸ともいえるそんなアニメには、海外で絶大な人気がある作品も多い。今回は、有名監督が出がけた作品や、直木賞を受賞した小説が原作の作品など、日本のアニメ映画の中でも海外で高く評価されている良作を5本セレクトした。(文・寺島武志)
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『マトリックス』に影響を与えた人気シリーズの映画版
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995)
上映時間:80分
監督:押井守
原作:士郎正宗
脚本:伊藤和典
キャスト(声優):田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、家弓家正
【作品内容】
同作の舞台は舞台は第4次世界大戦後、2029年の日本。人間はより効率的に生活を送るために体をサイボーグ化させ、電脳化も進んでいた。
そんな中、機械の発展により高度化した犯罪を食い止めるべく、内務省直属の公安9課、通称「攻殻機動隊」が設立される。攻殻機動隊は、少佐の草薙素子を筆頭に、各分野のスペシャリストが集められる。
そして、外務大臣の通訳が電脳をハッキングされる事件が起きる。他人の電脳をハックして人形のように操る国際手配中のハッカー「人形使い」の犯行である可能性が浮上する。
しかし、捜査を進める攻殻機動隊でも、一向に人形使いにたどり着かない。ようやく犯人を逮捕するが、その人物は「人形使い」に頭脳を改ざんされ、操られただけの人物だった…。
【注目ポイント】
2017年にはハリウッドで実写化もされた『攻殻機動隊』シリーズの第1弾。90年代に制作されたとは思えない高クオリティ、そして国内のみならず、欧米でも根強い人気を誇るアニメ映画に金字塔だ。
その漸進的なストーリーは、海外映画の1999年に公開され、大ヒットを記録したハリウッド映画『マトリックス』にも大きな影響を与えたといわれており、“パクリ疑惑”さえ囁かれたほどだ。
実際、脚本を務めたラリーとアンディのウォシャウスキー兄弟は、「『攻殻機動隊』からは、多くのアイデアを得た」と公言している。
監督の押井は、原作のストーリー展開やセリフを極力生かしながらも、3DCGを多用し、その世界観やキャラクター設定をガラリと変えた作品に仕立て上げた。その様は、押井をして「僕が原作者なら激怒していたと思う」と言わしめたほどだ。
士郎による優れた原作の上に押井の天才的・先鋭的な創作力が重なり、脚本を担当した伊藤の調整力がうまく重なったことで、哲学的なテーマが根底にありながらも、欧米のファンをも唸らせる作品が出来上がったといえる。
その後、2004年に続編となる『イノセンス』が製作・公開されただけではなく、以降のSFアニメ作品に多大な影響をもたらした名作となった。
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