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大傑作! 日本最高のボクシング映画は? 心揺さぶる日本映画(3)。全員が敗者…それでも美しい確かな傑作

血や汗や情熱やロマンが入り混じる、泥臭くも美しいスポーツ、ボクシング。そんなボクシングを題材にした映画は、日本国内で今も昔も製作され続けており、有名監督や人気俳優、実力派女優らも多く関わっている。故障や病、障害、栄光と挫折などを描き、観る者の心を揺さぶる史上最高のボクシング映画を、今回は邦画に絞って5本セレクトした。

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パンチドランカーの悲哀に胸打たれる

『BLUE/ブルー』(2020)


出典:Amazon

上映時間:107分
監督・脚本:吉田恵輔
キャスト:松山ケンイチ、東出昌大、木村文乃、柄本時生、守谷周徒、吉永アユリ、長瀬絹也、松浦慎一郎、松木大輔、竹原ピストル、よこやまよしひろ

【作品内容】

ボクサーの小川(東出昌大)は、日本タイトル挑戦にも手が届くところまできており、王座獲得の暁には、恋人の千佳(木村文乃)と結婚する青写真を描いていた。一方で、小川の先輩である、冴えないボクサー・瓜田(松山ケンイチ)は連敗続きで冴えない日々を送っている。そんな中、小川にパンチドランカーの症状があらわれるのだが…。

【注目ポイント】

松山ケンイチ
松山ケンイチGetty Images

ストーカー殺人を描いた『ヒメアノ~ル』(2016)、国際結婚の斡旋を題材とした『愛しのアイリーン』(2018)などを手掛けた吉田恵輔監督が、自ら趣味とし、30年以上続けているボクシングを扱ったオリジナル脚本によって映画化したヒューマンドラマ。

なお、タイトルの『ブルー』は挑戦者が立つ青コーナーを意味している。

誰よりもボクシングを愛しながらも負け続きの瓜田信人(松山ケンイチ)、ジムの後輩で将来有望の小川一樹(東出昌大)、瓜田の幼馴染で、小川と交際している天野千佳(木村文乃)などが織りなす人間模様が描かれている。

ボロボロになりながらも努力をやめない男の愚直なまでの生き様を、ボクシングを通じて表現している。

パンチドランカーの症状はボクサーとして致命的なものだが、それでも諦め切れない姿は、見る側の心が痛くなるほど純粋だ。

ボクシングが格闘技である以上、勝者と敗者がいる。また、パンチドランカーに試合させないことは、ボクシングがスポーツであることの証左でもある。

この作品にはヒーローは存在しない。全員が敗者のまま、ストーリーが終わる。しかし、そんな彼らにも、長く続く“その後”の人生が待っている。

ただひたすらこのスポーツを愛する“元ボクサー”が織りなす美しさを、脚本を書き、自らメガホンを取った吉田恵輔と、松山ケンイチ、東出昌大の2人を中心としたキャスト陣が丹念に描き切った作品だ。

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