『世にも奇妙な物語』史上最高の神回は? トラウマ必至の最恐傑作(1)潰される男…恐怖のロッカー、その運命は?
1990年の放送開始以来、根強い人気を誇る『世にも奇妙な物語』。これまでに放送されてきた物語は569話を数え、岩井俊二や三谷幸喜など、今をときめく名クリエイターたちが参加してきたことでも知られている。今回は、30年にも及ぶ同番組の歴史の中から、”最恐エピソード”を5本紹介しよう。(文・編集部)
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全国の視聴者にトラウマを植え付けた初期の傑作
『ロッカー』(1990/主演・織田裕二)
放送日:1990年5月3日
監督:瀧川治水
脚本:橋本以蔵、土屋斗紀雄
出演:織田裕二、段田安則、菅田俊、斉藤暁
【作品内容】
産業スパイの悟は真夜中に研究所に忍び込み、研究データを盗もうとしていた。しかし、作業中に研究者の佐口邦夫に見つかってしまい、もみ合いの末に殺してしまう。その場を後にしようとする悟だったが、騒ぎに気付いた警備員が見回りにやってきて、とっさに近くのロッカーに身を隠す。
警備員の足跡が遠のきほっと一安心する悟だったが、鍵が壊れていて外に出られない。焦った悟がロッカーの中を見渡すと、壁に死んだ邦夫と彼の婚約者らしき女性が並んだ写真が貼られていることに気付く。悟が隠れたロッカーは死んだ佐口のロッカーだったのだ—。
【作品内容】
本作は、1990年放送の第1シリーズの第2回に放送された物語。かなり初期に放送された物語にもかかわらず、多くの人々にトラウマを植え付けた作品として知られている。
本作の恐ろしさは、タイトルになっている「ロッカー」だ。主人公の悟は、狭いロッカーに長時間閉じ込められ、そのままスクラップ工場へと運ばれていく。本作は、そんな悟の視点を軸に物語が進んでいくため、視聴者も悟の恐怖を追体験することになるのだ(閉所恐怖症の人は見ないのが賢明だろう)。
ディテールの描写も見事だ。例えば、ロッカーの壁に貼られた佐口の写真が、観るたびにおぞましい形相に変わっていく。そしてラスト、スクラップ工場のベルトコンベアーを流れる”ロッカーだったもの”に、悟の帽子らしきものが付着している描写には、背筋が凍ること請け合いだろう。
また、本作では、全編に渡ってインダストリアルノイズのようなBGMが全編に渡って使用されており視聴者の不安を存分に煽る。シンプルな設定だが、よくできたサスペンスの傑作だ。
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