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史上最高のNHK大河ドラマは…? 歴代で最も面白い名作(3)社会現象級の視聴率! 驚異的ブームの理由は?

text by 寺島武志

日本ドラマ作品の代表格といえばNHKの大河ドラマ。第1作『花の生涯』(1963)より連綿と受け継がれるシリーズであり、主人公の人生と歴史のうねりを1年かけて描く大河ドラマは、視聴者の記憶に、より深く刻み込まれる。今回は、数ある作品の中でも名だたる名作を5本セレクト。作品の魅力を解説しながらご紹介する。(文・寺島武志)

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奥州の暴れん坊・伊達政宗の
波乱に満ちた生涯を描く

『独眼竜政宗』(1987)

渡辺謙(2003年)
渡辺謙Getty images

主人公:伊達政宗
放送期間:1987年1月4日~12月13日
脚本:ジェームス三木
原作:山岡荘八『伊達政宗』
最高視聴率:47.8%
主演:渡辺謙

【作品内容】

戦国時代末期、一代で仙台62万石の礎を築いた伊達政宗の生涯を描いた作品。
奥州の名族・伊達家の嫡男として生まれた伊達政宗(渡辺謙)は、幼少期に疱瘡で右目を失明し、母の愛情を感じられずに育った。父・照宗(北大路欣也)の英才教育を受けて成長し、家督を継いだ政宗に、様々な困難が待ち受ける…。

【注目ポイント】

本放送から36年経った今でも“ナンバーワン大河”の呼び声が高い本作。平均視聴率はなんと平均39.7%だ。

当時28歳だった渡辺謙が、伊達政宗を演じた。当時の伊達政宗は、仙台藩として62万石を与えられていたものの、徳川家の家臣ではなく「外様大名」の扱いだ。

当時の東北といえば「白河以北、一山百文」と例えられるように、蔑視の対象とされていた地方だ。そんな東北の大名に光を当てたのはなぜか。

まず、プロデューサーの中村克史が、『ゴッドファーザー』シリーズをイメージして、「地方の武将を題材にしたドラマ」の構想を持っていたこと。山岡荘八の小説を基に、伊達成実が著した『成実記』や伊達家の公式記録である『伊達治家記録』を参照し、ジェームス三木に脚本を依頼したことで、ドラマ化が実現した。ちなみに主役の第1候補は西城秀樹だったという。

伊達政宗という、当時、世間的には無名だった“まだ見ぬ大物”の波乱万丈のストーリーと、若き渡辺謙の演技、そして、豊臣秀吉を演じた勝新太郎をはじめとする豪華キャストに競演によって、本作はヒットを超えたブームとなり、「仙台=伊達政宗」というイメージが定着し、それは未だに健在だ。

若手俳優の1人だった渡辺謙も、この作品でブレイクし、その後の活躍で、世界進出を果たすことになる。

家臣の支倉常長らを外交使節に任命し、日本史上初めて、ヨーロッパへ政治外交使節を派遣し、交易を図るなど、海の向こうに思いを馳せ、先進的な考え方を持っていた伊達政宗を、その後ハリウッドに進出した渡辺謙が演じたことは、どこか運命的なものを感じる。伊達政宗にとっても、渡辺謙にとっても、ともに「出世作」となった作品だ。

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