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史上最低のNHK大河ドラマは…? 評判最悪なガッカリ作品(1)黒歴史…駄作の烙印を押された散々な理由は?

text by 寺島武志

1963年に始まり、現在まで連綿と受け継がれてきたNHKの大河ドラマ。2023年現在までに62作ものドラマが作られてきたが、当然、その中には残念ながら視聴者からの評判が振るわない作品も存在する。今回は、歴代の大河ドラマ作品の中で、特に視聴者から評判が悪かったとされるワースト作品を5本紹介する。(文・寺島武志)

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大河ドラマの“黒歴史”と
烙印を押されてしまった駄作…。

『武蔵 MUSASHI』(2003)

十三代目 市川團十郎【Getty Images】
十三代目 市川團十郎Getty Images

主人公:宮本武蔵
放送期間:2003年1月5日~12月7日
脚本:鎌田敏夫
原作:吉川英治『宮本武蔵』
最高視聴率:24.6%
主演:七代目市川新之助(現・十三代目市川團十郎白猿)

【作品内容】

戦国時代末期から江戸時代初期にかけて活躍した剣豪・宮本武蔵。物語は宮本武蔵が関ケ原の戦いに出陣するも敗れて浪人となり、失意の中帰郷するところから始まる…。

原作は吉川英治の名作小説であり、原作ではかの有名な「巌流島の決闘」で終結するのに対し、本作ではその後の武蔵の姿が描かれた。

【注目ポイント】

戦国時代末期から江戸時代にかけて、動乱の世を生き抜いた剣豪・宮本武蔵役には七代目市川新之助(翌年、「十一代目市川海老蔵」を襲名)、宿敵の佐々木小次郎役には、TOKIOの松岡昌宏を起用するなど、大ヒットを予感させるには十分のキャスティングだった。

自らの弱さを克服し、己の道を切り開く人間「武蔵」像を、お通(米倉涼子)との恋や、又八(堤真一)との友情を交え、丹念に描いている。ところが、ふたを開けてみれば視聴率は低空飛行を続け、平均16.7%と期待外れに終わる。主要キャストの新之助や松岡、米倉の経験不足が露わになったことが原因の1つともいわれている。

加えて、吉川英治の原作を、脚本の鎌田敏夫が、史実に基づき、より忠実に再現しようとするあまり、虐殺シーンやレイプや濡れ場などの過激なシーンが頻繫。視聴者離れを起こしてしまう結果となる。

また、本作を巡っては、“場外戦”も話題となった。

放送期間中に新之助の隠し子が発覚し騒動となった。また、藤田まことが製作スタッフとのトラブルを発端に、脚本や演出を批判した上で突然、降板する。この騒動以降、藤田まことはNHKのドラマには出演していない。

さらに不幸は続く。1954年に公開された黒澤明監督の映画『七人の侍』に酷似していると、黒澤プロから、著作権侵害の訴訟を起こされたのだ。NHKと黒澤プロは法廷で争い、裁判ではNHK側が勝訴したものの、この件は、ドラマ制作陣に遺恨を残す結果となった。

法廷の場で裁判長は判決文を読み上げた中で「表現上の本質的特徴の類似は感じられないものの、大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』には、黒澤作品のような高邁な人間的テーマや芸術的要素はうかがえない」と、勝訴を認めたにも関わらず、ドラマの内容を断罪したのだ。

そのダメージが大きく影響し、大河ドラマの“黒歴史”とありがたくない称号を与えられている。

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