「ゾッとする殺気…」菅田将暉史上最高の演技! おすすめ映画(1)。ただ者ではない演技に色気、特別な一本は?
大作映画から低予算のインディーズ映画まで、幅広い規模の作品で唯一無二の存在感を発揮。菅田将暉は、今や日本映画に欠かせない存在である。今回は、どんな役柄でも完璧にこなす、稀代のカメレオン俳優である彼の「演技力が堪能できる作品」を5本セレクトした。
●ロカルノ映画祭金豹賞受賞。父殺しの欲望をうちに秘める鬼迫の演技に注目!
『共喰い』(2013)
監督:青山真治
原作:田中慎弥
脚本:荒井晴彦、青山真治
キャスト:菅田将暉、光石研、田中裕子、篠原友希子、木下美咲
【作品内容】
昭和末期の福岡北九州市。17歳の高校生・遠馬(菅田将暉)は、父の円(光石研)とその愛人・琴子と3人で暮らしている。毎晩のように琴子に暴力をふるう円の姿を見て育った遠馬は、父への嫌悪感をつのらせると同時に、自分もいつか父のようになってしまうのではないかと、恐れる気持ちも抱いていた…。
原作は田中慎弥による芥川賞受賞作。監督を務めたのは、『EUREKA/ユリイカ』(2000)、『月の砂漠』(2003)など、スケールの大きい作品を手がけ、国際的にも高く評価されている名匠・青山真治。脚本は1970年代から現在に至るまで、第一線で活躍している荒井晴彦が担当している。
【注目ポイント】
DV癖のある父を毛嫌いしながらも、ときに暴力衝動が抑えられなくなる。そんな複雑な内面を持つキャラクターを、気迫の演技で体現。
けっして派手なアクションシーンがあるわけではない。しかし、古びた日本家屋で畳に横たわり、鋭いまなざしで虚空を見つめる菅田の表情からは、言葉にならない鬱屈した感 情がしっかりと伝わる。出演時の年齢は若干20歳。にもかかわらずこの殺気、ただ者ではない。
セリフや大仰なジェスチャーではなく、沈黙によって内面をヴィヴィッドに伝える、抑制された演技に背筋をゾッとさせられると同時に、ほとばしる色気に圧倒されるだろう。
キャリア初期の作品ではあるが、大器の片鱗は十二分に感じとれる。ちなみに、菅田は自身の転機として本作への出演および、青山真治監督との出会いを挙げており、役者自身にとっても特別な意味を持つ一本である。
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