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観ていてイライラする…最も嫌われたNHK朝ドラヒロイン(4)自分勝手すぎ…でも順調で神経逆なでするのは?

text by 寺島武志

国民的女優を生み出す登竜門的存在、NHK連続テレビ小説。そのヒロインといえば、朝ドラの顔に他ならない。しかし、数あるヒロインの中には、キャラクターやストーリーが視聴者から不評を買ってしまう例も存在する。今回は、歴代朝ドラ作品の中から、特に視聴者から評判が悪かったとされるヒロインを5人ご紹介する。(文・寺島武志)

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ヒロインの人生が順調すぎて感情移入できず

『なつぞら』(広瀬すず)

広瀬すず
広瀬すずGetty Images

主人公:奥原なつ→坂場なつ
放送期間:2019年4月1日~9月28日
脚本:大森寿美男
平均視聴率:23.8%
主演:広瀬すず

【作品内容】

1961年4月から放送された『娘と私』から数えて、「NHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)」第100作目の記念作品となった本作。

戦後、北海道の大自然の中で天真らんまんな子どもらしさを取り戻していった戦争孤児のヒロイン・奥原なつ(広瀬すず)の夢と冒険を、日本アニメの草創期を舞台に描いている。

なつは、馬の絵を描く少年・山田天陽(吉沢亮)と出会う。天陽から当時、アメリカで流行っていたアニメ映画の魅力を教えられ感動する。 高校生になり、なつは天陽の影響で、絵を描く仕事に興味を持ち、志すようになる。

【注目ポイント】

ストーリー以外での見せ場は、『ひまわり』(1996)の松嶋菜々子、『おしん』(1983)の小林綾子、『純ちゃんの応援歌』(1988)の山口智子、『どんど晴れ』(2007)の比嘉愛未、『ふたりっ子』(1997)の岩崎ひろみ、『娘と私』(1961)の北林早苗、『ちりとてちん』(2007)の貫地谷しほりなど、朝ドラ歴代ヒロインが総結集したことだろう。

なつが最終的に結婚する、職場の東洋動画の同僚・坂場一久(中川大志)との披露宴で、揃って出席するシーンは本作のハイライトだ。

すでに人気を確固たるものとしていおり、前年末の紅白歌合戦で司会を務めていた広瀬すずがヒロインとして起用された時点で、ある程度の“勝算”も見込まれていたはずだ。ところが、本作はNHK側が描いていたようなブームを巻き起こすことはなかった。

努力した形跡がないにも関わらず、なつのキャリアが順調すぎるほど順調に進む上、昭和30年代という設定にも関わらず、「報われなければ、働き方が悪いか、働かせる者が悪い」「そんなとこは逃げ出しゃいい」という、現在の働き方改革を思わせるセリフも登場するなど、時代背景が掴みづらく、視聴者は惑わされる。よって、感情移入しにくい作品となってしまった。

男性優位の世にあって、女性が実力を証明するには口が立つことも必須であることは理解できるが、それを踏まえても、なつの言動には自分勝手な点が垣間見え、それでいて「女性だから」と許されるシーンには、現実の世界でジェンダーギャップに苦しむ女性にとっては不快に映ったことだろう。

それでも、主役の広瀬すずは堂々とした演技で、この記念作品のヒロインを務め上げ、現在もトップ女優として活躍を続けている。

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