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満足度高すぎてロス発症…最高に面白かったベスト冬ドラマ(1)イケメンのツンデレぶりも…演技も見事な秀作は?

text by 寺島武志

季節の変わり目となり2024年1月期のドラマが続々と終焉を迎えている。配信で様々な作品が気軽に観られる時代の中、テレビも負けじと良作を生み出している。 今回は、1月から3月にかけて放送された冬ドラマ作品の中でも最も好評だった作品を5本セレクト。作品の内容を振り返りながら、高評価に繋がった要因を解説する。(文・寺島武志)

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川栄李奈が陽キャと陰キャの二面性を演じ分ける

『となりのナースエイド』

高杉真宙
高杉真宙Getty Images

放送期間:2024年1月10日~3月13日
放送時間:水曜22:00~23:00
放送局:日本テレビ系
原作:知念実希人
脚本:オークラ
キャスト:川栄李奈、高杉真宙、古田新太、瀧本美織、成海璃子、小手伸也、水野美紀、矢本悠馬、吉住、上杉柊平、織田梨沙、あかせあかり

【作品内容】

新人ナースエイドの桜庭澪(川栄李奈)は、星嶺大学医学部附属病院の統合外科病棟に配属される。自称“医療ヲタ”の澪は、医療行為は行えないものの、医師や看護師の縁の下の力持ちとして、患者に寄り添うナースエイド(看護助手)として、「前向きバカ」と呼ばれるほど、仕事にのめり込む。

実は元々外科医だった澪。ナースエイドに転じたのは、姉・唯(成海璃子)の死をきっかけに、医療行為を行おうとするとパニック発作が現れ、外科医を続けられなくなったからだった。

同じ統合外科病棟に勤務し、同じ寮に住む天才外科医・竜崎大河(高杉真宙)との衝突や協力、病院内での様々な権力争い、そして物語後半は、姉の死の真相などが絡み合い、単なる医療ドラマではなく、サスペンス要素も多分に含まれたストーリー。

【注目ポイント】

作中では、ナースエイドの病院内での地位の低さも描かれているのだが、澪はその卓越した医療知識を生かし、医師に意見することもある。手術室に消毒をせずに突入するなどの描写が「ありえない」と反感を買い、視聴者離れを起こし視聴率も低迷。一度も2桁に届くことはなかった。

あまりにも現実離れしたナースエイドの実態に、「監修者はいるのか」という声さえ上がった本作だが、医療監修もナースエイド監修も存在しており、所々に“ナースエイドあるある”のシーンも散りばめられている。

今ひとつ、世間の評判は芳しいものではなかったが、川栄演じる澪の表裏の顔の見事な使い分けや、高杉演じる竜崎の、外科医としては全く隙のない完璧な人物が、ひとたび酒が入るとすぐに酔い潰れて、澪の介抱によって帰宅するというツンデレぶりも、人間味が感じられるキャラクター設定だった。

厳しい声の多かった作品だが、これはあくまで「フィクション」だ。しかし、入院したことのない人にとっては「ナースエイド」という仕事があることすら知らない人も多かっただろう。そんな、陰ながら医療を支える存在である職業に光を当てたことに、本作が製作された意味があると感じるのだ。

主人公を演じた川栄李奈が、陽キャと陰キャの二面性を持つ難しい役どころを演じてみせ、女優業に進出した元AKBの中で、頭一つ抜け出した印象すらある。それほどまでに魅入られる演技だった。

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