史上最高のフジ月9ドラマは? 時を超え語り継がれる傑作(3)究極の美貌…女性を虜にしたカリスマ作品とは?
フジテレビ系列の月曜9時枠のドラマといえば、名作ドラマの宝庫。特に1990年代~2000年代においてはラブストーリーを中心に様々なジャンルの作品を打ち出し、世間の注目を集めてきた。今回は、”月9ドラマ”の中でも特に名作だと名高いドラマを5本セレクト。時が流れても色褪せない作品の魅力をご紹介する。(文・寺島武志)
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恋愛ドラマの金字塔
ヒロインに憧れる女性多数
『やまとなでしこ』
主演:松嶋菜々子
放送期間:2000年10月9日~12月18日
脚本:中園ミホ、相沢友子
最高視聴率:34.2%
他キャスト:堤真一、矢田亜希子、筧利夫、須藤理彩、東幹久、森口瑤子、西村雅彦、今井陽子
【作品内容】
航空会社の客室乗務員として働く神野桜子(松嶋菜々子)。しかし、極貧の漁師の家庭に育った生い立ちから、“お金が全て”という価値観で、玉の輿を目指し、お金持ちの男性との運命の出会いを求めて、日夜、合コンに明け暮れる。
桜子はある医者との合コンの席で、中原欧介(堤真一)と出会う。欧介はかつての恋人にそっくりな桜子に一目ぼれするのだが、本当の欧介は医者ではなく、実家の小さな魚屋を切り盛りしていた。
心よりもお金が大事だと公言する一方で、亡き母が語っていた「お金では買えない、たった1つのもの」という言葉が頭を離れない桜子が、本当の恋を見つける物語。
【注目ポイント】
本作は、恋愛ドラマの名作が並ぶ「月9」の中でも、屈指の人気を誇る作品。特に主人公の桜子の女性支持率が抜群に高い。放送後に発売されたソフト版のみならず、桜子が語った“名言集”が出版された上、韓国でリメイク版が製作されるなど、大人気を博した。
桜子は激しい二面性のある女性だ。金持ち以外の男には目もくれず、「女の市場最高値は27歳まで」と言い切るなど、取り扱いを間違えれば、ただの嫌な女に映っていただろう。
それでも女性支持が高いのは演じた松嶋菜々子の美貌や演技も勿論あるが、桜子が他の女性をいじめたり、ライバルを蹴落とすような自分を貶めるような行動をとらず、己の美学に従って自分の人生を切り開こうと邁進する様に憧れる人が多かったのではないだろうか。
脚本家の中園ミホは、事前に綿密な取材を行うことで有名だ。劇中、桜子が男性の車のキーをチェックする、と語る場面があるが、中園は本作を執筆するにあたり、実際に客室乗務員の合コンに同席させてもらい、その時に観察したことが反映されているという。
本作が放送された2000年は、バブルが崩壊し、貧富の差が現れ始めた社会背景の中、「勝ち組・負け組」といったワードが聞かれ始めた時期にあたる。当時の世の女性たちも、勝ち組男性との出会いに血眼になっていた。
桜子が「お金目当て」で出会いを求めているのに対し、欧介は「外見重視」で女性を見ている点を桜子に論破されてしまうシーンは、恋愛や結婚について回る「打算」を見事に言い当てている。
余談だが、劇中では、欧介が馬主であることを示すバッジ(本来はお得意様の持ち物)を付けたことがきっかけで桜子の興味を引くことになる。これに感化された、元メジャーリーガーの佐々木主浩が引退後、馬主となることを決意したと告白している。
さらに、本作のロケ地となった代官山アドレスや、杉並区の蚕糸の森公園などは“聖地”として、人気スポットとなった。
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