2007年の銀幕デビュー以来、日本映画界の中心で活躍する、俳優・鈴木亮平。コメディからサスペンスまで、実直な青年から極悪非道なヤクザまで、演技の幅はまさに変幻自在。今回は、どんなジャンルの映画でも唯一無二の存在感で魅せる彼の代表作を5本セレクト。ぜひチェックしてその豊かな演技を堪能してほしい。今回は第3回。

●鈴木亮平の怪演が光る！ 血で血を洗うやくざ映画の決定版

『孤狼の血 LEVEL2』（2021）

上映時間：139分
監督：白石和彌
脚本：池上純哉
キャスト：松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎、西野七瀬、中村梅雀、早乙女太一、斎藤工（齊藤工）、吉田鋼太郎、滝藤賢一、中村獅童

【作品内容】

伝説の刑事・大上省吾が殺されてから3年後。彼の跡を継いだ日岡秀一は、権力で裏社会を取り仕切っていた。しかし、彼の目の前に、出所したての上林組組長・上林成浩が立ちはだかる。“悪魔”と称される上林の登場で状況は一転。血で血を洗う抗争へ発展していく。

【注目ポイント】

本作『孤狼の血 LEVEL2』は、柚月裕子の小説が原作の『弧狼の血』の続編で、本作は完全オリジナルとなる。監督は前作同様『凶悪』の白石和彌。主演は、前作の役所広司に代わり松坂桃李が務める。

従来、「気が優しくて力持ち」タイプの役が多かった鈴木だが、本作で演じるのは、復讐のためになら手段を選ばない上林成浩。恐喝・拷問・なんでもござれの“極悪非道ぶりをアドレナリン全開で怪演している。特にラスト、車体をぶつけ合いながらのカーチェイスと、血で血を洗う殴り合いのシーンは必見。バイオレンス映画の醍醐味が存分に味わえる。

ただ、描写のインパクトに重きを置くあまり、脚本に破綻が見られることも確か。特に、日丘が軟禁状態から脱出するシーンは荒唐無稽で、しらける向きもあるだろう。細かいことは置いておいて、とにかく役者同士の演技合戦を見たいという人にはうってつけの映画である。

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