実は超低予算だったメガヒット映画は? コスパ最高の名作映画(3)600万円が250億円…強烈なホラーとは?
映画製作には莫大な費用が掛かる。しかし、人の心を掴む作品は必ずしもお金が掛かっていることとは比例しない。今回は、低予算にも関わらず、製作費を大いに上回る興行収入を叩き出し、大金を稼いだ大ヒット洋画作品を5本セレクト。今もなお人々の心に残る名作のヒットに至るまでの経緯や、製作の裏側を徹底解説する。
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巧妙な宣伝戦略で大ヒット
世界をざわつかせたモキュメンタリーホラー映画
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)
上映時間:81分
監督:ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス
脚本:ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス
出演者:ヘザー・ドナヒュー、ジョシュア・レナード、マイケル・C・ウィリアムズ
【作品内容】
1994年10月、モンゴメリー大学の映画学科に在籍していたヘザー、ジョシュア、マイクの3人は、伝説の魔女「ブレア・ウィッチ」を題材にしたドキュメンタリー映画を撮影するために、メリーランド州パーキッツビルにあるブラック・ヒルズの森に向かう。撮影をはじめると、誰かに監視されているような気配を感じるなど、不可解な現象に襲われ、そのまま消息を断ってしまう。
行方不明事件から1年後、彼らが撮影したと思われるビデオが発見された。この事件を解明することを遺族が望んだため、そのビデオを再構成して製作・公開された。…というテイで宣伝され、世界をざわつかせたモキュメンタリー・ホラー映画。
【注目ポイント】
スタッフ・キャストは超少人数、撮影日数は6日、総製作費は6万ドルの超低予算と、ホームビデオレベルの製作規模ながら、全米興行収入1億4000万ドル、全世界興行収入は2億4050万ドルを記録し、「予算に対して最高収入を得た作品」と喧伝される魔女級ヒット作。
ここまで低予算の製作が実現したのは、「行方不明の若者たちが残したビデオテープを発見した」という設定による所が大きい。これだとカネをかけるほどリアルさが無くなってしまうので、予算の使い道が無いのだ。
このアイディアは「ファウンド・フッテージもの」と呼ばれ、安上がりでリアルな恐怖を演出することができるため世界中の映画製作者が飛びつき、無数のフォロワー作品が生まれることになる。
ただし、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』がヒットしたのは、その内容に加えて、周到に仕掛けられた宣伝戦略にあった。インターネットに行方不明者の情報を流したり、魔女の存在を裏付けるような文書を作ったりと、その仕掛けは巧妙で、一部で本物のドキュメンタリーと信じた観客も続出した。
製作費も6万ドルと宣伝されたが、配給権を買った制作会社により、追加撮影や映像の加工などが行われており、最終的に数十万ドルはかかっているといわれている。
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