イタくて酷い…ヤンキー漫画史上、最悪の実写化日本映画(1)「客をナメんな」劇場ガラガラ…3つの問題点とは?
2023年には『東京リベンジャーズ』『Gメン』をはじめ、実写映画化に成功したヤンキー漫画原作。しかし、原作漫画はヒットしていたものの、実写されたことで世界観が違いすぎると炎上したものも少なくない。今回は、イタイとまで言われるツッコミどころ満載のヤンキー漫画原作の実写映画を5本セレクトする。(文・ZAKKY)
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見逃せない問題点が多数…。蓋を開ければ劇場はガラガラ
『ホットロード』(2014)
監督:三木孝浩
原作:紡木たく
脚本:吉田智子
出演:のん、登坂広臣、鈴木亮平、太田莉菜、木村佳乃、小澤征悦、竹富聖花、落合モトキ、山田裕貴、野替愁平、鷲尾真知子、遠藤雄弥、野間口徹、利重剛、松田美由紀、渡辺恵伶奈、小澤亮太、
主題歌:尾崎豊「OH MY LITTLE GIRL」(ソニー・ミュージックレコーズ)
【作品内容】
シングルマザーと暮らす14歳の少女・宮市和希(のん)は、自分が望まれて生まれてきた子どもではないと、心を痛めている。ある日、夜の湘南で出会ったNights(ナイツ)という不良チームの少年、春山洋志(登坂広臣)。和希と洋志は、お互い不器用で、いがみ合いながらもいつしか寄り添ってゆく。しかし、Nightsのリーダーとなった洋志は、敵対するチームとの抗争に巻き込まれてしまう。
【注目ポイント】
80年代の伝説の漫画が、10年前に実写映画化。ヤンキーの世界を少女漫画として恋愛要素を強調し、描かれた作品は後にも先にもないのではないだろうか。
主人公の宮市和希には当時、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(2013)でブレイクした能年玲奈(現・のん)、そして、和希が惹かれる不良少年・春山洋志役は、映画初出演となった「三代目J Soul Brothers」の登坂広臣が熱演した。
レジェンド作のまさかの実写化ということもあり、当時、話題にはなったが、蓋を開ければ劇場はガラガラであった…。それはなぜだったのか? 個人的にいくつか考察させていただく。
●当時の能年玲奈(20歳)に、14歳の役はないだろう問題
これは、ヤンキー漫画実写化問題として、議論されるテーマなのではあるが、ヤンキー男子高校性を成人を超えた俳優が演じるのはしょうがないにしろ、「中学生役を20歳の女優に演じさせるか?」という話だ。年齢相応のキャスティングを望みたいところだったが、当時の能年玲奈の人気を考えれば、致し方なかったのか。
●原作大ヒット時のファン層の心を、つかんでいない問題
今作は前述の通り、80年代におけるヤンキー全盛期の時代背景の物語である。当時、和希と同年代であった少女たちは、彼女の孤独な心情、洋志に対する恋心に共感をどこかで持っていた。
しかし、それは遠い昔の思い出であり、郷愁に浸りたいのであれば、原作を読み返せばいいだけで(2014年当時)、今更若い子に演じられても、何も刺さらなかったのではと。「和希ちゃんも、洋志も、あんなんじゃない! ナメんじゃねーよ!」と、予告編を観た時点で思ったのではないだろうか。
女性は心の切り替えが早いとも言われているので、「そりゃ、昔は好きだったけど、今、なんで映画化?」と首をかしげたアラサー・アラフォー女性が多かったのではないかと、憶測される次第だ。
●80年代の青春モノと言えば、尾崎豊の曲を使えばいいと思うなよ問題
本作のイメージソングとして、尾崎豊の『I LOVE YOU』。これは、作品のイメージと合っているのは分かるが、とりあえずの尾崎! という考え方が見え見えで、安直すぎるのでは? と考える。とはいえ、ここでEXILEの楽曲が使われれば、ただの芸のないPV映画となり、原作ファンであれば、作品を使われていると考え、自分の好きだったものを汚したくないと、見ない人も出てくることだ。
そこで、今更、提案したいことがある。漫画連載当時、希代の人気バンド・チェッカーズが感化されて『Jim&Janeの伝説』という名曲を残しているので、それを主題歌にした方が、よかったのではないか?
当時、『ホットロード』ファンとチェッカーズファンたちが、各々が支持する作品を通して仲間になったということは有名な話。きっとポジティブに受け入れられたのではないだろうか。
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