『世にも奇妙な物語』史上最も泣ける神回は? 涙腺崩壊の感動作(1)脚本が天才的…美しく切ない恋の物語とは
1990年の放送開始以来、根強い人気を誇る『世にも奇妙な物語』。これまでに放送されてきた物語は500話をとうに超え、岩井俊二や三谷幸喜など、今をときめく名クリエイターたちが参加してきたことでも知られている。今回は、30年にも及ぶ同番組の歴史の中から、”感動エピソード”を5本紹介しよう。(文・編集部)
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坂元裕二の脚本が素晴らしい…栞を介した女性の切ない恋のゆくえ
『栞の恋』(2010/主演・堀北真希)
放送日:2010年10月4日(20周年スペシャル)
演出:岩田和行
原作:朱川湊人(『かたみ歌』所収)
脚本:坂元裕二
出演:堀北真希、岸部一徳、竹財輝之助
【作品内容】
1967年。グループサウンズ、タイガースのサリーが大好きな加川邦子(堀北真希)は、公園でビールケースを運搬するサイダー売りの仕事をしていた。そんなある日、彼女は、商店街で見つけた青年(竹財輝之助)に一目惚れ。恋に奥手な邦子は、彼を追って古本屋の中へと入っていく。青年が去った後、彼が読んでいた本を手に取る邦子。と、本の隙間からイニシャルが入った栞が落ちてきて…。
【注目ポイント】
ドラマ『大豆田とわ子と三人の夫』(2021)や映画『怪物』(2023)など、数々の名作を手掛けてきた脚本家、坂元裕二。そんな坂元が手がけた感動作が、この『栞の恋』だ。
原作はミステリー作家として知られる朱川湊人で、2010年の『世にも奇妙な物語 20周年スペシャル・秋 〜人気作家競演編〜』内の一編として放送。主人公の加川邦子を堀北真希が演じている。
『花束みたいな恋をした』(2021)など、ラブストーリーの名手として知られている坂元。本作では、1960年代の日本を舞台に、決して叶うことのないとある男性との淡い純愛を見事に描出している。
また、全編に散りばめられた昭和歌謡やゴーゴー喫茶など、1960年代当時の雰囲気を精巧に再現したセットや小道具も、本作の魅力の一つだろう。ノスタルジーを掻き立てる美術や決して叶わない邦子の切ない恋が、本作の根強い人気の秘密のようだ。
また、作中では、物語のカギを握る古本屋の店主役を、本物のザ・タイガースのサリーである岸部一徳が演じている。こういったキャスティングも、昭和世代にはたまらない演出になっている。
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