「生きていることの幸せを体感してほしい」映画『こわれること いきること』主演・吉田伶香、独占インタビュー
text by ZAKKY
東日本大震災で家族を失った女性が、介護施設で働くことを通じて生きる意味を見出していく。映画『こわれること いきること』は、12年前の悲劇を思い出させてくれると同時に、生きる希望を与えてくれるヒューマンドラマだ。今回は主演を務めた、女優の吉田伶香さんのインタビューをお届け。撮影の裏話などを伺った。(取材・文:ZAKKY)
【映画『こわれること いきること』あらすじ】
東京の専門学校に通う河合遥(吉田伶香)は、地元・福島県いわき市に従姉妹の結婚式に一人、出席しなかった。そして、挙式に向っていた家族を 2011年3月11日に起こった東日本大震災で失ってしまう。喪失感を抱えたまま卒業した遥は、いわき市に戻り、介護施設で働き始める。ある日、高校時代の恩師で吹奏楽部顧問であった小田由美子先生(藤田朋子)が、車椅子に乗り、施設に入所してきた。
「すんなりと役に入り込むことができた」
演じる気持ちが楽になった監督からの言葉
―――役作りで意識したところを、教えていただけますか。
「ナイーブなキャラクターで、自分自身に近い部分もあったので、すんなりと役に入り込むことができました。
普段の自分に置き換えて遥の行動を考えられましたね。もちろん、『このセリフはどんな気持ちで言っているんだろう』と悩む部分もあったので、その都度、北沢幸雄監督とすり合わせをさせていただきました」
―――監督とのディスカッションで、印象深かったことはありますか?
「最初は怖い人だと勝手に思って緊張していたのですが、カメラマンさんから『大丈夫だよ』と言われて接してみたら、とても優しい方で。『セリフは一字一句シナリオ通りに言わなくてもいいから、自分の思うようにやってみな』と言われてから、一気に気持ちが楽になりました」
―――本作では東北地方出身の遥が東京で暮らす様子が描かれます。山形県出身の吉田さん自身ともオーバーラップしたのではないでしょう。
「そうですね。撮影当初は、広く言って東北弁をガチガチに喋る予定だったんです。でも、遥は現在、東京に住んでいるわけなので、どっちも織り交ぜて演じようと思いました。
その辺の演技プランは、兼次要那くんをはじめとした共演の方々と話し合って、監督に提案しました」