映画『東京物語』世界が認める名作を徹底解説。「私ずるいんです」紀子の言葉の真意とは? <あらすじ 評価 考察 レビュー>
text by 編集部
映画「東京物語」は何がすごいのか? 演出、脚本、配役、映像、音楽の項目で徹底解説。小津安二郎監督による不朽の名作。笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子、山村聡ら出演。家族の絆と人間の一生を描いた日本映画史に残る珠玉のホームドラマ。今観るとつまらない? その真の評価を多角的な視点から明らかにする。
東京物語のあらすじ
尾道で暮らす周吉(笠智衆)と妻のとめ(東山千栄子)は、東京にいる子供たちを訪ねに行く。下町で小さな病院を営む長男の幸一(山村聡)は日夜仕事に追われており、上京した父母の世話を妻の文子(三宅邦子)と妹の志げ(杉村春子)に押しつけてしまう。
しかし、文子と志げもまた日々の生活に忙しく、次第に老夫婦の面倒をみるのが重荷になっていくのだった。 上京したはいいものの、子供たちに邪険に扱われ、疲弊していく周吉ととめ。行き場のなくなった2人が頼れる相手は、戦死した次男の嫁・紀子(原節子)だけだ。紀子は義父母を東京観光に連れて行くなど、親切のかぎりを尽くし、2人の心を明るくする。
東京滞在を終えた老夫婦は帰路の列車に乗る。しかし…