映画『アンダーカレント』公開記念! 銭湯を舞台にした映画5選。なぜ“銭湯”が選ばれるのか? その理由も徹底考察
国内外から熱狂的な人気を誇る、豊田徹也の伝説的長編漫画を真木よう子を主演に迎え、『愛がなんだ』『ちひろさん』などを手がけた今泉力哉監督で実写映画化した『アンダーカレント』が現在絶賛公開中だ。今回は、本作をはじめ、銭湯を舞台にした映画5選を紹介。なぜ、銭湯を舞台にした映画が多く製作されるのか、その理由も徹底考察。
2023年だけでも本作を入れて3本!
過去作には「テルマエ・ロマエ」「湯を沸かすほどの熱い愛」も。
突然夫が失踪してしまった銭湯「月乃湯」の女主人・かなえを真木よう子、夫が失踪したかなえの前に「働きたい」と現れる謎の男・堀を井浦新、失踪したかなえの夫の行方を期間限定で探すことになる探偵・山崎をリリー・フランキー、突然失踪したかなえの夫・悟を永山瑛太、かなえと悟の同級生でかなえに探偵・山崎を紹介する菅野には江口のりこと実力派俳優が集結。
監督は、『愛がなんだ』『ちひろさん』などを手がけた、いま日本映画界で最も支持を集める映画監督の一人・今泉力哉。
本作をはじめ、銭湯を舞台にした映画5選をご紹介いたします。また、なぜ銭湯を舞台にした映画が多いのか理由も考察いたします。 2023 年だけでも本作を入れて3本!さかのぼれば「テルマエ・ロマエ」「湯を沸かすほどの熱い愛」など傑作がたくさん!
伝統的な日本文化でもある“銭湯”。映画の舞台として選ばれることが多い理由に、いろんな人が集まる交流の場であり、映画の登場人物たちが出会い、会話をし、関係を築く場面として使いやすいという側面がある。
さらに一人でゆっくり湯舟につかれば、思考をめぐらすことも多いはず、つまりモノローグやナレーションでキャラクターの内面を表現するシーンにぴったりなのだ。もっと言えば、リフレッシュしたりストレス発散できる場でもあるので、頭がスッキリしたり、今風にいえば「ととのう」ので、何かひらめいたり、アイデアが浮かんだり、と物語が転換するきっかけにもなり得る。“銭湯”で事件が起きやすいというわけだ。そして視覚的にも魅力的で、蒸気、湯船、カラフルなタイルなど、銭湯の特徴的な要素は映画の映像表現を豊かにする。
そんな銭湯を舞台にした映画は2023年だけでも本作を入れて3本公開されている。2月公開『湯道』は、亡き父の残した古びた銭湯を巡って反目し合う兄弟、ある事情を抱え、その銭湯で働くヒロイン、「人の道は『湯』に始まり、『湯』に終わる」という「湯道」に魅せられた定年間近の郵便局員、フィアンセの父親と「ハダカノツキアイ」に挑む外国人、仙人と呼ばれた謎の老人、一癖も二癖もある登場人物たちが銭湯に大集合し、彼らの人間模様が描かれている。
7月公開『アイスクリームフィーバー』ではメインの舞台はアイスクリーム店だが、その近所にある銭湯が唯一の癒しである女性が登場する。疎遠になっていた姉の娘が急に訪ねてきて、最初は戸惑いながらも、いっしょに銭湯に入るなどして徐々に関係が良くなっていく様が描かれている。
そしてさかのぼれば、ヤマザキマリによる漫画が原作の『テルマエ・ロマエ』(2012年)や『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年)などの傑作も。
前者は古代ローマの浴場設計技師ルシウスが現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまうコメディドラマ。ルシウスは日本の風呂文化に驚き学び、その異文化を自分の時代に取り入れる様を描いており、観た人の中には伝統文化としての銭湯の魅力を再発見した人も多いのでは。
後者は、持ち前の明るさと強さでパートをしながら娘を育てている母親・双葉が突然の余命宣告を受けてしまい4つの“絶対にやっておくべきこと”を決め、家出中の夫を連れ帰り休業中の銭湯を再開させ、気が優しすぎる娘を独り立ちさせようと奮闘する姿を描いている。
そして銭湯映画の最新作『アンダーカレント』も、銭湯を舞台に物語が展開される。
【ストーリー】
家業の銭湯を継ぎ、夫の悟とともに順風満帆な日々を送るかなえ。しかし突然、悟が失踪する。途方に暮れていたかなえだったが、なんとか一時休業していた銭湯を再開させる。数日後、堀と名乗る謎の男が、銭湯組合の紹介を通じて「働きたい」とやって来る。その日から、住み込みで働くことになった堀とかなえの不思議な共同生活が始まる。
友人・菅野から紹介された胡散臭い探偵・山崎とともに期間限定で悟を捜しはじめたかなえは、悟の知られざる事実を次々と知ることに。それでも、堀と過ごす心地よい時間の中で、穏やかな日常を取り戻しつつあったかなえ。
だが、あることをきっかけに、悟、堀、そして、かなえ自身も閉ざしていた、心の奥底に沈めていた想いが、徐々に浮かび上がってくる。それぞれの心の底流(アンダーカレント)が交じりあったその先に訪れるものとはー。
【作品情報】
■出演:真木よう子、井浦新、リリー・フランキー、永山瑛太、江口のりこ、中村久美、康すおん、内田理央
■監督:今泉力哉『愛がなんだ』『ちひろさん』
■音楽:細野晴臣『万引き家族』『メゾン・ド・ヒミコ』
■脚本:澤井香織『愛がなんだ』『ちひろさん』、今泉力哉
■原作:豊田徹也『アンダーカレント』(講談社「アフタヌーンKC」刊)
■製作幹事:ジョーカーフィルムズ、朝日新聞社
■企画・製作プロダクション:ジョーカーフィルムズ
■配給:KADOKAWA
(C)豊田徹也/講談社2023「アンダーカレント」製作委員会
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