トラウマ級の悲劇…史上最も胸糞が悪い学園モノ日本映画(5)少年少女の殺し合い…日本を震撼させた名作とは?
エンターテイメント作品の設定として定番の学園モノ。同年代の人間が過ごす学校という場所には、それだけ多くの出来事が起こりやすいということだ。これまでも友情や恋愛に限らず、SF、アクション、ホラーなど、多くのジャンルの作品が生み出されてきた。そこで今回は、学園で悲劇が起こる映画を5本セレクトして紹介する。(文・ニャンコ)
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容赦のない子供たちによる殺し合い
『バトル・ロワイアル』(2000)
原作:高見広春
監督:深作欣二
脚本:深作健太
出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、柴咲コウ、安藤政信、ビートたけし
【作品概要】
「今日はみんなに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」というキャッチフレーズで有名な、高見春広作「バトル・ロワイアル」を原作として、2000年に公開されたR-15にレイティングされた作品。
今作は新世紀の経済的危機によって大人達を頼ることができなくなった子供達の暴走を描いた作品で、政府から「BR法(新世紀教育改革法)」が言い渡される。
年に一度、全国の中学3年生の中から選ばれた1クラスを、脱出不可能な無人島に連れ、最後の1人になるまで殺し合いを強いるというストーリー。
主人公・七原秋也(藤原竜也)は理不尽な争いに巻き込まれていく。
無人島という閉じた環境は、極限状態での集団心理と生存への闘争を強調し、青春期の生徒たちの未熟な感情や集団圧力に弱い心理を浮き彫りにしている。
【注目ポイント】
監督は深作欣二、出演には藤原竜也、前田亜希、柴咲コウ、栗山千秋などの、日本を代表する俳優達の出世作とも言える作品だ。
学校という安全な聖域から、殺し合いの舞台である無人島へと場所が変わることで、生徒たちは戸惑い、恐怖や混乱の感情を抱くが、「何か変わるかもしれない」と期待を抱く人物もいたはずである。
例えば、殺戮の快感に目覚めた桐山(安藤政信)や相馬(柴咲コウ)は、普段はサイコパスな気質を隠していたが、閉鎖的な空間に閉じ込められたことにより本能を解放している。
このように閉鎖的な空間というものは、集団パニックを引き起こすのと同時に、人間の内に秘められた本能をも解放してしまうのである。
さらに、成熟していない少年少女ならではの、大人の世界では引き出せない要素にも注目だ。
本作で中学3年生である七原たち未成年が主人公として選ばれた理由は、青春期特有の感情の不安定さ、集団心理の複雑さを強調するためである。
彼らの行動が映画のテーマである倫理、罪と罰、復讐の複雑さを観客に伝えるのに最適なのだ。
学校という閉じられた空間での悲劇は、集団心理の恐ろしさを浮き彫りにし、このような環境下で生徒たちは互いに影響を与え合い、極限状態では過激な行動に出ることもある。
その時に個人の道徳や良心が集団の中でどのように変化するか、それを未成年である少年少女たちの目を通して鋭く描き出している。
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