世紀の大爆死…最悪のヒーロー映画は? 迷走した失敗作5選【洋画編】ファンも見放した期待外れ作をセレクト
ヒーロー映画は老若男女に愛されるジャンルとして、人気の高いコンテンツだ。マーベルやDCコミックなど、人気のシリーズも数多く存在する中、大ヒットを目指すも、シリーズ最低興収や世間からの反感など、期待外れの結果となるものも少なくない。今回は、その中でも、大爆死と言われた史上最低のヒーロー映画を5本紹介する。(文・寺島武志)
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史上最も3Dの使い方が間違っている映画
『エアベンダー』(2010)
上映時間:103分
原題:The Last Airbender
製作国:アメリカ
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
原作:マイケル・ダンテ・ディマーティノ ブライアン・コニーツコ
キャスト:ノア・リンガー、ニコラ・ペルツ、デブ・パテル、ジャクソン・ラスボーン、ショーン・トーブ、アーシフ・マンドビ、クリフ・カーティス
【作品内容】
かつて世界は、気、水、土、火の4つの王国によって均衡を保っていたが、「火の国」が反乱を起こして以来、100年にわたる戦乱が続いていた。
伝説によると、全てのエレメントを操る“アバター”だけが世界に秩序を取り戻すとされ、「気の国」最後の生き残りである12歳のアン(ノア・リンガー)に希望が託されるが、アンは自身の宿命を受け入れられず、修行から逃げ出してしまう。そのせいで火の国の反乱を契機に世界中で戦争が勃発してしまう…。
【注目ポイント】
1999年に脚本・監督を務めた『シックス・センス』で大ヒットを飛ばし、アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされ、若くして一流監督の座に着いたインド系アメリカ人の鬼才シャマランの作品とあって、期待感が高まっていた本作。
しかし、フタを開けてみれば、“2010年最悪”とまで評されてしまい、最低の映画に送られる「ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)」では最低作品賞をはじめ、最低監督賞・最低脚本賞・最も3Dの使い方が間違っていて目に悪い映画賞を“受賞”することになる。
あまりにもファンタジー過ぎるキャラクター設定や、アジア人設定のキャストがほとんど白人で占められている点など、ツッコミどころ満載だ。このキャスティングは反発を呼び、パラマウントには抗議文が殺到する騒ぎとなった。この論争はシャマランと抗議団体の間で、現在も続いている。
この差別的な問題のみならず、原作無視の脚本、前時代的な東洋の描き方など、様々なほころびが悪目立ちし、続編を匂わせるエンディングでありながら、あまりの不入りによって打ち切りになるというオチまで付いた。
当然ながら、続編は製作されていなかったが、2024年になって、Netflixがドラマシリーズとして『Avatar:The Last Airbender(原題)』を配信することが決定している。