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まるで紙芝居…。
作画完全崩壊の日本アニメ史上に残る珍作

『ガンドレス(GUNDRESS)<完全版>』(2000)

製作国:日本
監督:谷田部勝義
原作:天沢彰
脚色:ORCA、伊崎健太郎、坂井淳一、藤家和正
キャスト(声優):石塚理恵、渡辺久美子、岡村明美、高木礼子

【作品内容】

エンジェル・アームズと呼ばれる女性のみで構成された特殊部隊に所属するアリサ・タカクラは、かつての恋人で死んだはずのテロリスト、ジャン・リュック・スキナーがサイボーグとして再生され、暗躍していることを知る。西暦2100年の未来都市ヨコハマ・ベイサイドシティを舞台に、アリサを擁するエンジェル・アームズと、ジャン・リュックを擁するテロ集団「セクンダディ」の戦いを描いている。

1999年に未完成の状態で上映が強行され、観客に完成品のソフトを無料配布するという前代未聞の“珍事”を引き起こしたアニメ作品。同作はその翌年に公開された「完全版」だ。

【注目ポイント】

日活が4億円の予算を用意したものの、下請け・孫請けによって、最終的にはスタジオジュニオ(現・ジュニオブレイントラスト)が、約2億円で受注。しかし、完成が間に合わないまま公開を強行し、完成までさらに1億円の製作費がかかった上、損害賠償請求され、活動停止にまで追い込まれてしまった、いわくつきの作品でもある。

正確な興行収入は明かされてはいないが、総製作費約5億円に対し、大赤字を残したことから、その悲惨さは想像に難くない。

まずもって、同作はアニメ作品として破綻している。“作画崩壊”と揶揄されるほどの低クオリティーに加え、セル画不足による不自然な映像は紙芝居にも例えられたほど。

2000年前後は、ジブリ作品が業界を牽引する形で、数多くのアニメ映画が公開され、「クールジャパン」と呼ばれる現在のアニメブームの萌芽とも言える時期であった。そんな中、本作に代表されるような低品質のアニメも濫造され、業界もまだまだ未成熟だったことが窺える。

DVD発売時は「業界・ファンの間で話題騒然となった“衝撃作”」と、自虐的なキャッチコピーが付けられた。日本アニメ界に汚点を残す“超”の付く駄作の一つといえよう。

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