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名女優・樹木希林の遺作となったヒューマンドラマ
人間性と生き様に魅せられる

『日日是好日』(2018)

サウナーヨモギダ
写真Wakaco

―――エッセイスト・森下典子の自伝エッセイ『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』を原作として、大森立嗣監督がメガホンを取った作品です。

「僕は趣味で茶道も嗜んでおりまして、原作をそもそも読んでいたんです」

―――なんと! 趣味も豊富で。「サウナ道」のことを「サ道」と言ったりしますが、そこも影響したのですか?

「いえいえ、それはただの偶然です(笑)。この原作は、ある編集者から『これ、絶対気に入りますよ!』と勧められて読み初めて、映画も観たという経緯です。何が凄いって、茶道の武田先生役である樹木希林さんの所作ですね。茶道を嗜んでいる人間からしても思わず唸る役作りには、圧巻です」

―――さすが名女優ですね。

「本当に!しかも、亡くなったのが、この映画の公開中であり、まさに遺作なんですよね。役柄を通して、樹木さん自身の人間性と生き様に魅せられる作品だと思います。

原作者と大森監督のトークショーを観に行ったのですが、そこで聞いた裏話も興味深かったです。何でも、樹木さんは、舞台として選んだ神奈川県三浦の自宅の近くに、『風景として必要だから』という理由で、アパートを建てたらしいんですよ(笑)」

―――すごいっすね!

「あと、当初は主演の典子(黒木華)と、助演である典子の従姉・美智子(多部未華子)のキャスティングが逆だったらしいんです。でも、樹木さんの一声で、役柄を交代することになったらしいんですよ。これは、おとなしい典子と元気な美智子のキャラクター像を見れば、大正解だったとすぐにわかるはずです。

また、大森監督も茶道の面白さへの理解が深く、原作ファンも納得の作品ですね」

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