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「バッドエンドなのに不思議とスッキリする」
黒澤明×三船敏郎のタッグ作

『蜘蛛巣城』(1957)

サウナーヨモギダ
写真Wakaco

―――戦国時代を舞台とした黒澤明監督の往年の名作ですね。

「シェイクスピアの戯曲『マクベス』を日本の戦国時代に置き換えていて、その設定がそもそも斬新なのですが、“能”の要素も入っているんですね。ここ数年“能”にもハマっているので、改めて観直したところ、新たな発見があった作品です」

―――茶道に続き、能ですか!多趣味ですね~。

「まあ、追求すると止まらない性分なので(笑)。主人公・鷲津武時(三船敏郎)の妻・浅茅を演じる山田五十鈴の能面のような表情は、凄まじいですし、美しいですね。

能面というのは、同じ表情でも見る角度によって違って見えるんですね。それを生身の人間が見事に表現している」

―――ほほう。

「あと、特撮を駆使した撮影も凄くて、この時代にここまでの映像が撮れるのかと、目を見張ります。とにかく馬の数も人の数も半端ではない。CGもない時代ですから、人力を動員せざるを得なかったからこそ実現したスケール感には驚きますね。合戦のシーンなんて、本当に死人が出ていてもおかしくないですよ、あんなの(笑)」

―――主演・三船敏郎の迫真の演技については?

「最後に大量の弓に打たれて死ぬわけですが、三船はリアルに殺されると思っていたらしいですから。撮影後に怒りが沸いて、散弾銃を持って黒澤明の家に押しかけたなんて逸話もあるくらいで(笑)。

また、冷静であった浅茅が最終的に発狂する場面も衝撃的ですね。そして、最後も『能』の歌で物語は締めくくられる。バッドエンドですが、なんだか不思議とスッキリとする作品です」

―――サウナくらいスッキリしますか。

「まあ、サウナとは質はもちろん違いますが。ただ好きな作品というだけですよ(笑)。でも、カタルシスを感じたい人、さらに『能』のことを多少なりとも知った上で観ることをお勧めします。何にしろ、日本最高峰の映画ですね」

(文・ZAKKY)

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