悲しみと不安に負けない病弱令嬢
カヤ
演じるなら、この人!
〜清原果耶〜
ウソップの故郷・シロップ村に住む、村一番の富豪の跡取り娘。原作では4巻で初登場。序盤の登場なので、すでに記憶が薄れかけている方もいるかもしれないが、「ウソップが思いを寄せる金髪の美少女」と言えば、思い出してくれるだろうか。
両親を亡くした精神的なショックで病気がちになり、ベッドで退屈な日々を送る中、ウソップから聞くウソの冒険譚のおかげで、笑顔と元気を取り戻す。
執事グラハドールとして働いていた元クロネコ海賊団のクロに命と財産を狙われるが、ウソップとルフィ達によって救われる。現在は医者としてもう勉強し、ウソップの帰りを健気に待っている。漫画単行本の扉絵ではカヤの元気な姿が確認できる。
カヤは命を救ってくれたお礼にと、執事のメリーが設計した帆船「ゴーイングメリー号」をルフィたちにプレゼントする。彼女は麦わらの一味が本格的に海賊として第一歩を踏み出すことに貢献した人物でもあるのだ。
恋愛要素が全くないワンピースだが、唯一ウソップとカヤの間にはそれっぽい空気が一瞬流れる。今年配信されたNetflixドラマ『ONE PIECE』では、あろうことか2人のキスシーンが描かれ、おかげでウソップは「ワンピース男性キャラ唯一の勝ち組」と称されているに至った。
さて、そんな作中の重要人物であり、屈指の美少女・カヤを演じるのは、次世代を牽引する若手女優である清原果耶の他にいないだろう。決して同じ名前だからコンバートしたというわけではない。
彼女は、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』で主演を演じ、さらに人気女優の登竜門と言われる「全国高校サッカー選手権大会」の14代目マネージャーを務め、瞬く間に国民的女優への道を駆け上がっていった。
映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』では映画初主演で、主題歌も彼女が担当。その表現力は衆目が認めるところ。聴く者の心を洗う透明感のある歌声に、プロデュースを担当したCoccoが興奮して涙したというエピソードが残されている。
ウソと分かっていながらも毎日純粋に話を聞き続けてくれる心優しいカヤだが、病弱ながらも、自分の命を狙っているクロに対して言い返すことができる精神的な強さも持っている。
2019年に放送された連続テレビ小説『なつぞら』では、主人公(広瀬すず)の妹役に抜擢され、18歳の新妻役から人生に苦労する奥さん役まで幅広く演じ、視聴者を圧倒させた。そんな彼女であれば、穏やかながら芯の通ったカヤを演じ切ってくれるに違いない。
これは原作にはないシーンだが、日本人キャストによる実写版「ワンピース」が実現したあかつきには、ウソップの話を思い出して、清原が軽やかにハミングするシーンをぜひとも作っていただきたい。