歴代の漫画実写化史上、最高の再現度を誇るキャラクターは? 完成度が高すぎて原作ファンを唸らせた名キャスティング&映画5選
人気漫画作品が実写映画化される時、やはり気になるのはキャラクターの再現度だろう。見た目はもちろん、キャラクターの独特のクセや役者本人の持つ雰囲気など、様々な要素をクリアしなければ、視聴者に受け入れてもらうことはできない。そこで今回は、我々のシビアな目をくぐり抜けた実写化映画の再現度が高い俳優を5人セレクトして紹介する。
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想像した以上の再現ぶりにファン歓喜
松山ケンイチ『デスノート』L
監督:金子修介
原作:大場つぐみ、小畑健
キャスト
キラ:藤原竜也
L:松山ケンイチ
弥海砂:戸田恵梨香
高田清美:片瀬那奈
【作品内容】
名前を書いた人間を死亡させることができるという死神のノート「デスノート」。それを使用しつつ、犯罪者を抹殺し、理想の世界を作り上げようとする夜神月(ライト)と、世界一の名探偵・Lたちによる頭脳戦を描く。
【注目ポイント】
2003年から2006年にかけて週刊少年ジャンプで連載された人気漫画『デスノート』。国内外に熱烈なファンを獲得し、実写化の話が持ち上がった際には、反対の声も多く聞かれた。しかし、蓋を開けてみれば、一部で“原作超え”の声も上がるほど、ファンから厚い支持を得ることに成功した。
本作の見どころといえば、なんといっても、デスノートをめぐるライトとLの一進一退の頭脳戦。名匠・金子修介監督の素晴らしい演出もさることながら、映画『デスノート』を成功に導いたのは、ライトを演じた藤原竜也とLを演じた松山ケンイチの圧倒的な再現力に尽きる。
ライト役の藤原竜也は、蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』や映画『バトル・ロワイアル』など、若くして代表作に恵まれた、超売れっ子の俳優であった。しかし、Lを演じた松山ケンイチは、公開当時、藤原ほど名が売れてはいなかった。
しかし、それが逆に功を奏した結果になった。
Lのトレードマークといえば、痩せ型の体型に目の周りの真っ黒なクマ。椅子の上に膝を立てて座り、終始甘い物を口に入れる仕草も印象的だ。変人かつ天才であることを示唆する要素がてんこ盛り盛り。いかにも漫画的なキャラクターであり、実写化のハードルは非常に高かったと言える。
しかし、ブレイク前の松山ケンイチがLを演じることで、観客に先入観を持たせず、まっさらな状態でLというキャラクターに馴染むことに成功。今振り返って見れば、本作の松山の芝居からは、やや甲高い特徴的な声色など、彼の個性とも言うべきものが全面に出てはいるのだが、それらがすべてキャラクター表現に上手く活かされており、あまりの見事さに惚れ惚れする。
Lの不気味な表情や独特の歩き方、身のこなしなど、原作ファンが想像していたLを完璧に体現した松山。世間の評価がようやく追いつき、日本アカデミー賞・優秀助演男優賞をはじめ、報知映画賞など様々な賞を受賞し、実力派俳優として本格的に羽ばたいていった。