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日本のBL作品の金字塔…『美しい彼』が実写化に成功した理由とは? ドラマ&映画を徹底考察。他にはない特別な魅力を解説

内気な平良一成と俺様な清居奏の2人のいじらしい関係を描くBLドラマ『美しい彼』(MBS/TBS)。ローカル放送発のドラマ作品でありながら、異例ともいえる大ヒットを遂げ、2023年にはドラマ第2期だけでなく劇場版が公開された。今回は、本作の魅力とBL作品が女性に人気な理由を紐解いてみたい。(文・佐澤ともみ)

ローカル放送発の大ヒットBLドラマ『美しい彼』
対極なふたりが織り成すままならぬ恋

©2023 劇場版美しい彼eternal 製作委員会

『美しい彼』は、内気で根暗な平良一成(ひらかずなり)と、見目麗しい容姿と俺様な性格で周囲を翻弄する清居奏(きよいそう)、この一見ちぐはぐなふたりによるいじらしい恋模様が観客を魅了するBL(ボーイズラブ)シリーズである。

原作は『流浪の月』(東京創元社)『汝、星のごとく』(講談社)で本屋大賞を二度も受賞した凪良ゆうによる小説。『汝、星のごとく』は直木賞候補にも選出され、一躍その名を世に響かせた凪良ゆうは、実はBL小説家としての一面も持つ。

2021年11月から始まったテレビドラマ第1期は地方局による深夜枠の放送だったが、配信サービスによって瞬く間に人気が広がり、ギャラクシー賞内「マイベストTV賞」グランプリを受賞。2023年2月にドラマ第2期が放送された後、4月には『劇場版 美しい彼~eternal~』が公開された。その評判は海外にまで及び、ローカル放送発としては異例の大ヒットとなった。

高校のクラス替え初日、自己紹介で緊張した平良の口からは、幼少期から悩まされてきた吃音が出てしまう。ただでさえ友達がいない平良は絶望するが、そのとき遅れて教室に入ってきた清居の圧倒的な美しさに息を呑む。

有象無象の生徒達の中、清居はいつでもクラスの中心で光り輝いていた。まさに「生まれ持ってのキング」のような、ただならぬカリスマ性に飲み込まれた平良はあっという間に恋に落ち、パシられ役として清居に忠誠を誓うようになる。

一方で、寂しい幼少期を過ごした清居は、他者に求められたい欲求が人一倍強かった。自分に異常なほど執着する平良に不気味さを感じつつも、「まるでこいつの世界には俺しか存在していないような」平良の熱い眼差しをもう一度向けられたいと思うようになる。

言わばヒエラルキーの最底辺と最頂点に位置する正反対なふたりの想いが、木漏れ日差す教室で揺れ動く。ふたりで過ごす時間は増えていくものの、点と点が交わらないまま卒業の日を迎え、清居への恋心を封印する平良。しかし、ほどなくしてふたりは再会し、止まっていた時間が動き出す。

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