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秀逸な展開に驚き! 夫婦がもった殺意の行方とは?

『新・Wの悲喜劇』シーズン6

『相棒』公式インスタグラムより
相棒公式インスタグラムより

放送日:2008年3月5日
脚本:輿水泰弘
犯人役:白鳥晋三

【神回である理由】

この作品の選出理由は“刑事ドラマとしての異質さ”である。

主婦の白鳥寿々美は旦那の晋三が嫌いで仕方なかった。日常生活でも包丁を持てば刺し殺したいと思い、ネクタイを持てば首を絞めたいと思う程に嫌悪感を抱いており、もはや殺意であった。

遂に寿々美は晋三の殺害を企てる。

仕事が終わり浴場に入った晋三をドライアイスのガスで昏倒させ、自身はガスマスクをしながら彼を熱湯風呂に入れ全身火傷で殺す。計画は見事成功し、晋三は命を落とす。

しかし彼女には誤算があった。マンションの下の階の住民は亀山薫だったのだ。更に運の悪い事に犯行当時、杉下右京も訪問していたのである。

寿々美は2人に家を調べられ、また発言の矛盾を突かれて追い詰められる。

万事休す…と思った時、寿々美は目を覚ます。

まだ殺人は実行されておらず、晋三の帰宅を待ちながら寝てしまっていたのである。タイミングよく晋三の帰宅を告げるチャイムが鳴り、寿々美は玄関のドアを開ける。

しかし現れたのはサングラスをかけた謎の男。男は寿々美へナイフを突き立て殺そうとするが、間一髪で特命係に助けられ事なきを得る。

謎の男の正体は晋三に雇われた殺し屋。晋三は寿々美の殺意に気付いており、殺される前に殺そうと依頼していたのである。寿々美は殺意を否定し、晋三は亀山達に連れていかれる。

しかし“大量のドライアイス”と“ガスマスク”で寿々美が何かを計画していた事を察した右京は彼女へ囁く。

「どうか今夜はご自分の幸運に感謝しながらお休みください。実行に移すチャンスに、恵まれなかった事を…」

本作は刑事ドラマではなくまるで『世にも奇妙な物語』のようなSFのような作品だ。

夢オチという禁じ手を使いながらも、その描写を伏線として昇華している。

脚本家は『相棒』メインライターの輿水泰弘。重要回だけでなく相棒ワールドを広げる為に台詞、細部の描写、構成とあらゆる面で自由度を増している。

因みにS5「Wの悲喜劇」という同じく輿水氏が脚本の異色作もあるので、本作が好きな方は是非ともこちらも観てほしい。

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