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34歳にしてブレークを果たした生粋の俳優

若葉竜也『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ系)

俳優の若葉竜也
俳優の若葉竜也。写真:宮城夏子

【注目ポイント】

記憶障害を抱えた脳外科医・川内ミヤビ(杉咲花)が、医師として再生しようとする姿を描いた医療ドラマ。本作で、ミヤビの同僚の脳外科医・三瓶友治を演じている若葉竜也。

大衆演劇の家庭に育ち、初舞台はなんと1歳3か月。映画作品を中心に活躍中であり、杉咲との共演作『市子』(2023)が記憶に新しい人も多いだろう。杉咲とは4度目の共演となり、本作の制作にあたって杉咲から直接オファーを受けたという。

若葉演じる三瓶は、序盤はボサボサの髪型や愛想のない態度で、ほぼ笑顔を見せずにセリフ回しもボソボソとしており、唐突にグミをミヤビに差し出したりと変人ぶりが際立つ。

しかし一方で、天才脳外科医として徹底的に患者に寄り添い、記憶障害から医療行為を禁じられて自信を失っているミヤビの背中を押す。さらに事故に遭前のミヤビとは婚約していたと明かすなど、回を重ねるごとに、その複雑な背景と心の揺れ動きを若葉は見事に演じている。

本作を通じて、34歳にしてブレークを果たした感のある若葉だが、役者としてのプライドは人一倍大きく、番組宣伝のために出演したワイドショーでも、三瓶としてのキャラクターを保ちたかったのか、無愛想な態度に終始する。本人によれば、ワイドショーのみならず、バラエティー番組やクイズ番組への出演は、気乗りがしないようで、生粋の“役者”であることを示すエピソードだともいえる。

ドラマの宣伝のために、キャストがワイドショーやバラエティーの出演する例はもはや一般的となっているが、それを嫌がる俳優がいてもいいだろう。問題があるとすれば、出演を嫌がるキャストを無理やり番宣に引っ張り出そうとするテレビ局の方で、そんな悪しき慣例に、若葉は一石を投じたといっても良さそうだ。

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