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hyde(L’Arc〜en〜Ciel)&Gackt

『MOON CHILD』(2003)


出典:amazon

上映時間:119分
製作国:日本
監督:瀬々敬久
脚本:瀬々敬久、井土紀州、Gackt
キャスト:hyde、Gackt、ワン・リーホン

【作品内容】

時は2014年。日本経済は崩壊し、国民のほとんどは故郷を離れ、海外に移住している。アジアの片隅に位置する移民都市・マレッパは、バックボーンを異にする多種多様な人間が集まり、欲望と暴力が渦巻くカオスのような街だ。日本人移民の少年・ショウ(Gackt)は、仲間といるところを現地のマフィアに絡まれてしまう。絶体絶命のピンチに陥るショウだったが、そんな彼の前に現れたのは、謎の人物・ケイ(hyde)だった。

【注目ポイント】

Gacktは主演のみならず原案も担当したGetty Images

ミュージシャン・タレントとして活躍するGacktと、90年代以降を代表する日本のロックバンド「L’Arc〜en〜Ciel」でボーカルを務めるhydeのダブル主演による、近未来SF。Gacktはストーリーの原案も手がけており、独自の耽美的、退廃的な世界観が全面的に押し出された作品となっている。監督は後に数々の大作を手がける、日本が誇る名匠・瀬々敬久。

近未来を舞台に、欲望と暴力がうずまくアジアの街で、若者がサバイブしていくという筋書きは、岩井俊二監督『スワロウテイル』を想起させる。ミュージシャンがメインキャストを演じているという点も、共通している(『スワロウテイル』にはシンガーソングライターのCHARAが出演している)。しかし、『スワロウテイル』におけるCHARAが、持ち前のキャラクターを活かした自然体の演技を披露しているのに対し、本作のhydeとGacktの演技からは、若干生硬さが感じられる。

また、2人のバックボーンを活かすにはもってこいの歌唱シーンはほとんどなく、その点も、CHARAの歌唱シーンが素晴らしい『スワロウテイル』よりも劣っていると感じてしまうポイントだ。とはいえ、全編を通じてhydeとGacktの洗練されたルックスは存分に堪能できるので、両者のファンであれば観て損はないだろう。巨額の資金をつぎ込んだ壮大なミュージックビデオだと思えば、上映時間119分はあっという間に過ぎ去るはずだ。

(文・ZAKKY)

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