パルプ・フィクションの“足かせ”となった
カンヌ国際映画祭最高賞という栄誉
まずは『パルプ・フィクション』。同作は1994年のカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を獲得している。アカデミー賞の歴史を遡ると、『パルプ・フィクション』以前に、パルムドールとアカデミー賞作品賞をW受賞した作品は、『マーティ』(1955)のみ。アカデミー賞の選考委員は、ヨーロッパの映画祭と差別化を計りたいという意識が強いのか、パルムドールやヴェネツィア国際映画祭の最高賞である金獅子賞受賞作品への点が辛くなる傾向があるのだ。
もし仮に目ぼしいライバルがいなかった場合、『パルプ・フィクション』が、およそ40年ぶりにアカデミー賞作品賞&パルムドールをW受賞した可能性はあっただろう。しかし、強豪ひしめく第67回アカデミー賞においては、パルムドール受賞という栄光が“足かせ”になったという側面は否めない。
ちなみに、2020年のアカデミー賞では、ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞作品賞とパルムドールのW受賞を達成している。