高校生たちの憧れだった「読モ」
音楽だけではない。登場する話題のマンガもテレビも当然ながら90年代。冒険バラエティー「進め!電波少年」マンガ「花より男子」。チョベリバ! なんて言葉も飛び出してきて、ひー、懐かしい!
なにより、物語のカギとなるのが、雑誌「ストレートフリッパーズ」、略して「ストフリ」。当時はストフリのように、読モで彩られたストリート雑誌がたくさんあった。
1995年、こういった読モタイプの雑誌が2冊創刊されている。ギャル雑誌の先駆けとなった『cawaii!』(主婦の友社)と『egg』(ミリオン出版)だ。プロではないけれど、ちょっと尖ったセンスを持つ普通の女子高生たちが、表紙や巻頭グラビアを飾って大ヒットした。
そしてこの2年後には、『cawaii!』の兄妹誌で、男子高校生をメインとした『BOYS RUSH』が創刊。さらに『東京ストリートニュース!(ストニュー)』といった雑誌もできて、これらが売れに売れた。そして野心と自信アリな高校生たちは、カメラマンに声を掛けられるべく、渋谷を練り歩くようになった。
スターになりたいわけじゃない。でも、多くの人から「可愛いね」「かっこいいね」と呼ばれる〝ちょっと特別〟になりたい。もしくは、友達と青春の記念を残したい。そんな若者の複雑な願いと「読モ」の立ち位置はぴったりニーズがあったのだろう。
「ストフリ」に載り、ニマニマと眺める秋久もその一人だった。控えめで度胸がないのに、なぜか主人公的な独特の光を感じる秋久を演じる髙橋海人さんの、オドオドとキラキラのミックスは見どころである。
これからどんどん「オドオド」が消えていくのだろうか……。