ドラマの良心とも思えたサカエの問題発言
次に、社会学者であるはずのサカエが、息子のキヨシと恋仲になるイノウエ少年に対して「モテないことを理由に男に走っている君は中二病だ」と一方的に叱りつける。
様々な性自認があるのが当たり前であるのに、全てが間違っていると言わんばかりの否定してしまうこのセリフには、コンプライアンスうんぬんよりも、そもそもの認識がかなり偏っている。
令和の社会学者であるサカエには、昭和の偏った価値観を述べるよりも彼女の職業や考え方を通して、常に冷静で多様な人々に寄り添う人物であって欲しかったと感じる。
しかし、どんな人物でも取り乱してしまうときはあるし、全てが完璧な人物なんていないということを伝える演出だったという見方もできなくはない。ましてや相手が未来の自分の夫となれば、取り乱してしまうのも仕方ないのかもしれない。
が、いずれにせよコンプライアンスや生き方について考えることをテーマにしたドラマで、結局はインティマシーコーディネーターも、同性愛もいたずらにからかわれてしまっただけのような寂しさを感じてしまった。