青空役・番家天嵩の名演
次回予告では、「新監督」といったワードが飛び交っている。果たして新監督を迎えた上で、南雲は“お払い箱”となってしまうのか。校長の丹羽は、トカゲのしっぽ切りよろしく、南雲だけに責任を押し付ける腹積もりなのか。
そもそも、この状況から「下剋上」を果たすとは思えないストーリー展開だ。「日本一の下剋上まで731日」の間にどんなミラクルが起きたのか。
メインストーリーとは外れるが、この日、光る演技を見せたのは美香の連れ子であるため、血の繋がりはないが、南雲を父として信頼している青空役の番家天嵩だ。
番家天嵩といえば本作と同枠の日曜劇場『テセウスの船』(2020)でも鈴木亮平演じる佐野文吾の息子役として出演していた。親子役での再共演に懐かしさを覚えながらも、以前よりも成長を遂げた番家天嵩につい親心を勝手に感じてしまう。
本作では、思春期に突入しつつある年齢で、親の都合で行きたくもない東京への転校を余儀なくされ、悩み抜いた末に、東京への移動の途中で“逃げる”という強硬手段に打って出る少年を演じている。
その様子は、普通に見れば南雲と別れたくないという、家族を想っての行動ととれるが、両親以上に地元に根付き、純粋に愛着を持っているように筆者の目には映った。
南雲夫妻にとって、頭の痛い問題となりそうな気配だが、本作が今後、学校のみならず、家庭の問題も描き出すとしたら、そのキーマンとなりそうな存在だ。
落ちるところまで落ちた南雲の逆襲ストーリー、そして越山ナインの成長物語にも期待したい。
(文・寺島武志)
【関連記事】
「映像化されない方がおかしいと思った」『下剋上球児』著者・菊地高弘、インタビュー【前編】TBSドラマの原案として話題
「彼らは“リアル・ルーキーズ”ではない」『下剋上球児』著者・菊地高弘、インタビュー。TBSドラマの原案として話題【後編】
前代未聞の“高校野球×ヒューマン×サスペンス” …その魅力は? 日曜劇場『下剋上球児』第3話考察&感想レビュー