意外過ぎるまひろの婿候補
第12話のタイトルは「思いの果て」。この回で、まひろの恋に一旦終止符が打たれた。本当は「妾でもいい」と道長に伝えようとしていたまひろ。しかし道長から倫子に婿入りすることが決まったと告げられる。
そもそも、なぜまひろは一度拒んだのに道長の妾になろうと思ったのか。そこには2つの理由がある。一つは、為時となつめの関係を目の当たりにしたから。なつめはいわば、為時の妾だ。ちやは(国仲涼子)がいた頃から2人の関係は続いており、日陰の女ではあるが、病気になってからは為時がつきっきりで看病に当たるほど相当愛されているように見える。
最期は娘に会いたいという願いまで叶えてもらえたなつめ。もし自分が為時の妻だったら、発狂しそうなくらい幸福な人生だ。この辺りは不倫に対して寛容な姿勢が見られる大石静の脚本(『知らなくていいコト』(日本テレビ系)での「不倫でも愛は愛」というセリフがそれを物語っている)って感じがする。
それはさておき、為時の愛に包まれながら逝ったなつめの姿を見て、まひろの中で妾に対する拒否感は薄まった。そんな中、まひろの婿を探していた宣孝(佐々木蔵之介)がある人物との縁談話を持ってくる。その人物とは、まさかの実資(秋山竜次)。どうやら実資は前の年に妻・桐子(中島亜梨沙)を亡くしたらしい。実資が義懐(高橋光臣)のことを愚痴るたびに、めんどくさそうに「日記に書けば」と言っていた桐子が亡くなったのか。2人のやりとりが好きだったのに…と寂しくなった。
そんな最愛の妻を亡くし、傷心の実資だが、自身も赤痢にかかって瀕死の状態。あっという間に縁談の話はなくなった。ただ実資自身はセクシーな女性の絵に興奮するくらいの元気はあり、史実では89歳まで生きる。彼とは12月末まで長い付き合いになりそうだ。最後まで大いに楽しませてほしい。
話が逸れてしまったが、まひろは自分の元に縁談話が来たことで道長への思いを再確認する。やっぱり道長のそばにいたい。そんな思いを胸に、道長のもとに走った。だが、その正妻となる人が倫子なら話は別だ。