神尾楓珠演じる紅葉は
「1対1で向き合ってくれる人がいない」
神尾演じる紅葉には、「1対1で向き合ってくれる人がいなかった」。グループの中にいるにはいるのに、気の置けない友だちがいるわけではない。だからなんとかそこにしがみついていたくて、同窓会の幹事を率先して引き受けるなど、友だちが多い自分を演じる。
だが、紅葉自身から何かを開示するわけではなく、付き合いは上辺だけ。気づけばグループLINEの中でたった1人取り残されてしまったり、珍しく友だちに飲みに誘われたと思ったのにマルチ商法の勧誘だったりする。人と向き合えない紅葉が、まともな人間関係を築けていないことがよくわかる。
そんな4人が、いくつかの偶然が重なって椿の家に集合し、お茶を飲むことになった。1度しか会わない相手だという気持ちが、これまで硬くしていた心の栓を緩めたのだろう。4人は過去の経験、それに基づく価値観をぽつりぽつりと話す。2度目はない相手になら話せることは誰にでもあるし、そこですこしエモーショナルな語り方をしてしまうこともある。
まさにそのようにして、お互いの核心に触れ合った4人だが、その場限りの関係は簡単に解消となる。それぞれの孤独は抱えたままで。