美鳥を介して「理想の家」に集まった4人
ゆくえの塾に通う希子(白鳥玉季)は、同じクラスで積極的に彼女に関わろうとする穂積(黒川想矢)を避けるようになっていた。それは、“クラスのみんな”に嫌われている希子に関わると、穂積もまたクラスで孤立してしまうから。そんなこととっくに織り込み済みの穂積が、ゆくえの前で涙を流す。
集団の中で生きることの難しさ。小さく震える穂積の肩から、悔しさが滲む。そんな彼を、ゆくえは「“みんな”にならなかったのはすごい」と褒める。多数派に流されたほうが楽だからと思考停止してしまう人も多い中で、自分でいいと悪いを見極められる。
この作品の登場人物たちは、“みんな”になれず(ならず)、“みんな”の価値観に押し流されなかった人たちばかりだ。美鳥いわく「塾のみんなから嫌われていた」美鳥を、「私と赤田は好きだったよ?」というゆくえしかり、先述した椿も、夜々も。そして「いつも不機嫌だった」小花先生の補修を受けるためにわざと低い点数を取っていた紅葉も、きっとそう。
そんな彼らが、これまでの人生で知らず知らずのうちに、ガーベラや将棋、ロールキャベツといったさまざまなエッセンスを、各地を転々と渡ってきた美鳥を介して共有している。そうしてかつて美鳥が住んでいた理想の家に集まっている。物語の美しさ。
気になるのは紅葉がやや美鳥に会うことに及び腰になっていること。そして、それは美鳥も同じ。2人の過去には一体何があったのだろうか。9話の放送が待ちきれない。
(文・あまのさき)
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