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冷え切った家族の間に一筋の光が差した

『南くんが恋人!?』第3話 ©テレビ朝日
『南くんが恋人!?』第3話 ©テレビ朝日

 また、今回は“家族”についてもフォーカスされた。南くんの父・晴幸(沢村一樹)が、ちよみの父・信太郎(武田真治)の営む焼鳥屋へやってきたのだ。ちよみの家族は、少々複雑である。まず、信太郎は母・楓(木村佳乃)の再婚相手で、ちよみと血の繋がりはない。弟の拓真(番家天嵩)は信太郎の連れ子であるため、同じくちよみとの血縁関係はなし。そして、大先生と呼ばれる祖母・百合子(加賀まりこ)と楓は実の親子ではなく、義理母と養女の関係。ちなみに、ちよみの実の父(富澤たけし)は堀切家を追い出されている。

 複雑だからこそ仲がいい。ちよみは、自分の家族をそう誇らしげに語る。一方で南くんの家族は、母・薫子(八木亜希子)が亡くなってからは、父1人、子1人の2人家族。だが、南くんは晴幸のことを避けているようで、どちらかというと親子関係は冷え切っている印象だ。

 晴幸は、南くんが旅行に行っている(ことになっている)ことすら知らなかった。仲が悪いわけではないが、自分と息子の間には壁がある。そのことに気づきながらも決して笑顔を崩さない晴幸の心情を想像すると、少し辛いものがある。

 親子間のわだかまりのきっかけは、薫子の病気だった。原因不明の病にかかった薫子が、まるで研究対象のように扱われている。そのことを容認していた晴幸を、南くんは許せなかったのだ。しかし、実際は薫子の希望。彼女の病は、遺伝の可能性があった。自らの身体で研究が進めば、南くんが同じ病気にかかっても治療ができると考えたのだ。

 真実を知った南くんは、遣る瀬ない面持ちを浮かべる。寮で暮らしていた南くんは、これまで晴幸と積極的に関わることをしなかったのだろう。それが小さくなってちよみと暮らし、物理的な距離が近くなったことで、図らずも晴幸の声が聞こえるようになった。

 家族間に一筋の光が射したのは、“南くんが小さくなったからこそ”なのかもしれない。そう考えると身体が縮んだ現象は、単なる事故ではなく、これまでの南くんを変えるための意味のある出来事だったとさえ思えてしまうのだ。

 これまで幾度となくピンチに見舞われつつも、何とか南くんを隠し通してきたちよみ。とはいえ、手芸店を経営する木村久子(室井滋)・通称「チャコ」には、その姿を目撃されていた。露見するのも時間の問題だが、第4話ではそれを上回る最大の危機が2人に訪れるという。さらなるピンチにちよみと南くんはどう向き合うのか。次回が待ち遠しい限りだ。

(文・西本沙織)

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